そんな日本の伝統や文化を愛する私ですが、年末にちょっと考えさせられる新聞記事を読みました。
「『日本スゴイ』ブームを切る」という、『東京新聞』(2016年12月23日)の記事です。
ネットなどでも話題になったようなので、ご覧になった方も多いかもしれませんが、今、改めて読もうとしても残念ながら『東京新聞』のウェブサイトでも全文は掲載されておりません。
そんな日本の伝統や文化を愛する私ですが、年末にちょっと考えさせられる新聞記事を読みました。
「『日本スゴイ』ブームを切る」という、『東京新聞』(2016年12月23日)の記事です。
ネットなどでも話題になったようなので、ご覧になった方も多いかもしれませんが、今、改めて読もうとしても残念ながら『東京新聞』のウェブサイトでも全文は掲載されておりません。
新年明けましておめでとうございます。
本年もどうぞよろしくお願いいたします。引き続き、このブログにおつきあいいただけると幸いです。
同書を読んでいると「自己効力感」よりも、むしろ「自己肯定感」の高さが町民気質を左右しているように思えてなりません。
たとえば、「ありのままの自分に価値がある」と思えるからこそ、他者の価値観や支配に左右されず、きちんと自分を守りながら、自分の価値観に基づいて自律的に世の中を生きていくことができるようになります。
それは海部町の学歴や社会的地位に惑わされることなく、「その人物そのものを見る」という「自殺予防因子ーその二 人物本位主義をつらぬく」に通じるものを感じます。
自己効力感の提唱者・バンデューラは、この「自分はできる!」という感覚を高める要素として次のようなものを挙げています。
(1)遂行行動の達成(実際に行動したことの成功体験)
(2)代理的体験(自分が行おうとしている行動をうまく行っている他者の観察)
(3)言語的説得(自己教示や行おうとしている行動を優れた他者から評価されること)
(4)情動的喚起(生理的な反応の変化を体験してみること)
なるほど、なるほど。ですが私にはもうひとつ、いちばん大切なものが足りないように思います。
それは「自己肯定感」です。
そんな子どもたちの状況から察するに、今の日本はとても閉塞的で画一的な社会になってしまっているということなのでしょう。
そう考えると、今までにご紹介した海部町の「いろんな人がいた方がよい」や「『病』は市に出せ」という予防因子が、それも自然発生的に成立していることは驚くに値します。
どうしてそんなことができたのでしょうか?
「韓国の子は『私はこう思う』とか『あなたはこうだよね』とか、はっきり言ってくれるから安心してつきあえる。日本の子たちは、表面上は楽しそうにつきあっている子のことを影では悪く言ったりするし、本音を見せないから何を考えているのか分からなくて怖かった。会話していても『本当はどう思っているんだろう?』っていつも探るような感じで疲れてしまった」
こうした日本の学校、友人関係における息苦しさは、学校に行くことが難しかったり、「人の目が気になる」という悩みで来室される10代のクライアントさんから、最近もよく聞きます。
いえ、もしかしたら最近の方がずっと多いかもしれません。
韓国旅行のとき、友人のお腹はほんとうにぱんぱんで、「すぐにも子どもが飛び出してきそう」な大きさでした。飛行機会社によっては臨月が近すぎて乗せてもらえないところもあったほどです。
そんな友人とタクシーに乗れば運転手さんが「何ヶ月なの?」と尋ねて来るし、市場や商店街を歩いていると、必ず地元の人たち(多くの場合、おばさんたち)が「何ヶ月なの?」「大事にしないと」「男の子? 女の子?」と呼び止めてきて、「これを食べるといいよ」と商品である食べ物を差し出されたりしもしました。
そして話は発展し、たとえば「(友人の)夫はどんな人なのか」とか、隣にいる私には「あんたは結婚しているのか」とか、かなりプライベートなことまで聞いてくるのです。
日本で同じこと口にしたら「セクハラだ!」と怒られそうですが、韓国の下町?のおじさん、おばさんたちがあっけらかんと聞いてくると、こちらも嫌な気持ちがまったくせず、逆に距離が縮まった感じがしました。
前に紹介した5つの自殺予防因子の中で、どういうことなのかよく分からないものに「その四 『病』は市に出せ」があります。
一言で言ってしまえば、「たいへんなことを一人で抱え込まない」ということのようです。
病気はもちろんのこと、家庭内のトラブルや事業の不振、あらゆる問題を「公開の場に出せ」ということだそう。
自分だけで抱え込まず「市に出せ」ば、「この薬が効くだの、あの医者が良いだのと、周囲が何かしら対処法を教えてくれる」(73ページ)というのです。
私の意見はさておき、本題に戻りましょう。
同書には、すべて紹介してしまいたいくらい、ユニークなエピソードがいっぱい詰まっていいます。
前回紹介した自殺予防因子「その一 いろんな人がいてもよい、いろんな人がいたほうがよい」という、いわゆる「多様性を重視する」傾向を伝える話としては、現在でいうところの中高を卒業した年頃の主に男子が入る江戸時代発祥の相互扶助組織についても書かれていました。
こうした相互扶助組織はかつてあちこちに見られました。でも、他の地域は状況は旧海部町とはかなり事情が異なっています。簡単に言うと、他の地域では先輩後輩の上下関係が厳しかったり、さまざまな規則があったりするかなり窮屈な組織でした。
さっそく本を購入してみました。
いずれの章も興味深く読んだのですが、とくに惹かれたのは「町で見つけた五つの自殺予防因子ーー現地調査と分析を重ねて」(第二章)でした。
著者は、第二章を
(1)自殺予防因子ーその一 いろんな人がいてもよい、いろんな人がいたほうがよい
(2)自殺予防因子ーその二 人物本位主義をつらぬく
(3)自殺予防因子ーその三 どうせ自分なんて、と考えない
(4)自殺予防因子ーその四 「病」は市に出せ
(5)自殺予防因子ーその五 ゆるやかにつながる
という自殺予防因子となる要因ごとに分けて書いているのですが、そこに出てくる町の人々のエピソードが、とってもユニークでした。