日本礼賛と金メッキ(2/7)
そんな日本の伝統や文化を愛する私ですが、年末にちょっと考えさせられる新聞記事を読みました。
「『日本スゴイ』ブームを切る」という、『東京新聞』(2016年12月23日)の記事です。
ネットなどでも話題になったようなので、ご覧になった方も多いかもしれませんが、今、改めて読もうとしても残念ながら『東京新聞』のウェブサイトでも全文は掲載されておりません。
記事の内容は
簡単に記事をご紹介しますと、出だしは「2016年のメディアは、伝統文化からハイテク技術まで『日本スゴイ』との賞賛であふれかえっていたがその評価は妥当なのか? どうして今、『日本スゴイ』ブームなのか? 社会の閉塞感の裏返しか、自信回復の表れか、はたまた排斥主義や偏狭なナショナリズムの反映か?」との問いかけから始まっています。
そして、この「日本スゴイ」ブームの起点は3.11であるという「ヘイトスピーチと拝外主義に荷担しない出版関係者の会」事務局の岩下結氏の「原発事故によって日本の技術がこてんぱんに打ちのめされたが、いつまでも引きずっていたくない。被害妄想からまず嫌韓本が広まった。これが批判を浴び、置き換わる形で15年ごろから日本礼賛本が目立ってきた」というコメントを紹介しています。
さらに第一次安倍内閣(2006年)が「愛国心」を強調していたことを指摘したうえで、戦時中にメディアがこぞって日本礼賛に走ったことを例に挙げ、「いつか来た道」を歩むことになるのではないかとの警鐘を鳴らしています。
そのうえで、「社会が閉塞する中で、日本をポジティブに紹介してくれる番組を視聴者が選ぶ状況になっている」(上智大学の音好宏教授・メディア論)や「一人一人が大切にされていると思えるような社会になれば、『日本スゴイ』なんて言わなくても済むようになるはずだ」(上智大学の中野晃一教授・政治学)などのコメントを紹介し、「『日本スゴイ』ブーム」は、「自信のなさの裏返し」という主張を紹介しています。
極端に揺れ動く
みなさんはどう思われるでしょうか。
個人的には「『日本スゴイ』ブーム」の背景については、いろいろな考えがあると思います。ただ、この記事を読んで私が感じたのは、「確かに日本人は『右から左へ』とか『善から悪へ』とか『大好きから大嫌いへ』というように、極端に揺れ動く傾向のようなものがあるなぁ」ということでした。
極端から極端へ動きやすいというか、振り幅がとても大きいというのでしょうか。(続く…)