次のMさんは、機械的に暗記し、記憶するだけの授業、与えられたものをこなすことがすべての受験勉強のなかで「ひとつひとつ考えていたら置いていかれる。見放される。疑問をもつことは許されなかった」(Mさん)中学時代についてこう話しました。
「高校に入ることがすべて、先生の評価がすべて、それ以外のものに価値がない。そんな世界に子どもたちは閉じ込められている。その狭い狭い世界の中で、子どもたちは常に誰かと競争し、誰かを蹴落とし見下すことでしか、自分の価値を見出せなくなってしまった。その世界に適応できなかった子どもは簡単に排除され、一度排除されたら元には戻れないと言われてしまう。だから私は考えることをやめた。そうしないとおとなにも先生にも認めてもらえないと思ったから。『自分を消さなきゃ、自分を殺しながらじゃなきゃ、きっと楽には生きていけないんだろう』と思ったから」