沖縄の休日(2/2)

2019年5月29日

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image060728.jpg 離島など沖縄の地方には、まだまだそうした「なんでも受け入れてくれる」雰囲気が残されているように思います。名前も知らない他人でも、目が合えば席を共にし、話が弾めば泡盛を勧め、盛り上がれば一緒に歌う。そう、「いちゃりばちょーでぇー(会えば兄弟)!」なのです。

どこのだれかも問いません。今、時間と場所を共有しているというだけで、受け止めてもらえるような空気を感じます。
そんな優しさ包まれると、体の奥から深呼吸できるようになって、コチコチになった心までがほぐされていきます。思い詰めていたことがあっても「てーげー(アバウト)に考えられるようになる」と言ったらいいでしょうか。

こうした空気の“もと”になっているのは、やはり「何でも受け入れ合っている」沖縄の人々の関係性ではないでしょうか。

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今回、泊まった宿のオーナー夫妻は、まさにそんなお二人でした。宿を取り仕切っていたのは、働き者の奥さん。
ご主人は、一見、いつも奥さんの言うことに従っているように見えます。でも、実は違うのです。お客さんの送迎や食材の準備、掃除など、ご主人がいなければ、とても仕事が回らないことを奥さんはよく知っていて、なんだかんだ言いながらもご主人をとても尊重していました。

たとえば奥さんは「早い時間から飲み過ぎるのさ!」と毎日、怒っていましたが、夕方には必ず冷えたビールとご主人のマイグラスを用意していました。数日いると、「飲み過ぎる」と奥さんがプリプリするのも、実はご主人の体を心配してのことなのだと分かりました。

そんな奥さんの気持ちを知ってか、ご主人はあまり言い返しません。でも、ときには「何で指図するか!」と、ケンカになったりもします。だけど、すぐに仲直り。大ゲンカした日も、夕飯どきには愛犬を間に挟んで、ふたり仲良く笑いあっていました。

腹にためず出し合って、自分を主張しながらも受け入れ合う。ほどよい距離感を保ちながら、お互いを気遣っている。夫妻の醸し出すそんな心地よい雰囲気が宿全体に流れていました。

たとえ生活が大変でも一緒に生きていく人がいる。飾らなくても、受け入れてくれる人がいる。そうした安心感があるからこそ、てーげーでいられるし、「なんくるないさ」と笑うことができる。
オーナー夫妻のやりとりを見ながら「そんな人間関係がつくりだす優しい空気こそが、私が沖縄に惹かれる理由なのかもしれない」と、考えた休日でした。

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Posted by 木附千晶