「改正」の明確な理由もなく
しかし、そこまで急いで「改正」しなければならない明確な理由は何も示されていません。参議院・教育基本法改正特別委員会で参考人に立った知人に聞いても、「公の理由は『国際社会の変化に合わせるため』だけ」とのことでした。
「国際社会の変化に合わせるため」に何を行うつもりでいるのかについては前回までの「教育基本法『改正』で子どもは育つか?」で述べました。端的に言えば、「分に応じて国や社会に役立つ人間の人材育成」です。
このような意図は「改正」法の中に明記はされていません。でも、それは教育改革国民会議(2000年)から続く、「21世紀教育新生プラン」(2001年)、「人間力戦略ビジョン」(2002年)、「中央教育審議会答申」(2003年)など、「大競争時代を打ち勝つ」として次々と出された提言などを見れば一目瞭然です。
そして、その先に競争の激化と規律・統制によるストレスの増大、子どもの序列化、そして人間関係の崩壊が待っていることも、「改正」先取りの教育改革を行っている自治体の現状から疑念の余地がありません。