会議に集まった子どもたちは、国も文化も、置かれた状況も違います。表面上は豊かで恵まれた先進国と呼ばれる国の子どももいれば、戦争や貧困にあえぐ国の子どももいます。
けれども子どもたちは、みんなJ・Swigartの指摘と同じことを訴えたのです。
A World Fit for Us(私たちにふさわしい世界)(3/3)
A World Fit for Us(私たちにふさわしい世界)(2/3)
ここに世界153カ国から集まった404名の子どもたちがおとなの世界に向けて出した「A World Fit for Us(私たちにふさわしい世界)」という宣言があります。2000年5月に開かれた「国連子ども特別総会」で、子どもだけの会議を開いて考え、発表したものです。
A World Fit for Us(私たちにふさわしい世界)(1/3)
おとなは、自分たちの都合に合わせて子どもが振る舞ってくれないと「今時の子どもは・・・」と、子どもの側に問題があるかのように言います。子どもが何を感じているのかを聴こうともせず、自分たちの都合のいいように子どもをつくり変えようとするおとなもいます。
しかし、アメリカの心理臨床家J・Swigartは言います。
「子どもは、私たち自身や私たちの生活、自分たちが適応しなければならない社会にどこか問題があるとき、その行動を通して教えてくれます。・・・私たちの行動が真に破壊的になると、子ども達はギョッとするような悲劇的なやり方で警告してくれます。
このブログで書いていきたいこと(2/2)
人間は関係性のなかで生きています。社会から影響を受けずに生きている人など存在しません。
「ひきこもり」という、一見、社会と隔絶しているかに見える人たちでさえ、日本社会の持つ歪みーー競争、効率化、親や社会の期待などーーと無関係ではありません。「社会の問題」を見ることなしに「個人の心の問題」を語ることなどできないのです。
すべてを「個人の心の問題」と片づけてしまうことは簡単です。けれどもそれでは根本的な解決にはなりません。
このブログで書いていきたいこと(1/2)
3万2552人。何の数字だと思いますか? 実はこの6月に警察庁が発表した自殺者数です。日本の自殺者数は1998年から8年連続で3万人を超えています。
自殺者数の推移と完全失業率の推移がほぼ同じ動きを見せることはよく指摘されていますが、日本は第12回世界精神医学会(2002年)の推計で実質自殺率世界第1位と言われた国でもあります。
「格差社会」などと言われて久しくなりますが、日本は世界的にみればまだまだ裕福な国です。それにも関わらず、なぜ、こんなにも幸せになれない人が多いのでしょうか?
プロフィール
■木附千晶(きづきちあき)
IFF・CIAP相談室セラピスト。
ジュネーブ(スイス)に本部を置く子どもの権利のための国際NGO・DCI(Defence for Children International)日本支部運営委員、機関誌『子どもの権利モニター』編集長、「DCI子どもの権利オンブズマン」委員。
一橋大学、東京女子医科大学等で授業に招かれて客員講義を行う。
ジャーナリストとして活動するなかで、子どもをめぐる問題に興味を持ち、AIU/CSPP修士日本プログラムに入学。
現在は社会・心理学視点を持った臨床・執筆活動を行なっている。
「オウムの子どもたちの一時保護を検証する」で第12回『週刊金曜日ルポルタージュ大賞』入選。著書に『「こどもの権利条約」絵辞典』(PHP)、『お笑い裁判傍聴記』(自由国民社)ほか。編集を手がけた本に「子どもが語る施設の暮らし」「子どもが語る施設の暮らし2」(明石書店)などがある。