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このKくんの事件後、「いじめ撲滅キャンペーン」が再燃したのは「生まれかわったらディープインパクトの子どもで最強になりたい」との言葉を残して福岡県筑前町の中学2年生の男子生徒(13歳)が自殺した2006年でした。

今回と同様、そのときもこの男子生徒の自殺を受け、その前後に起きていたいじめ自殺についても大きく報道されました。

そして、こうした動きに触発されたように、いじめを苦にしての自殺を予告する手紙が東京都豊島区の消印で届くと、伊吹文明文部科学大臣(当時)や東京都教育委員会の中村正彦教育長(当時)も、アピール等を出し、「決して死なないように」と励ましました。
アピールの詳しい内容を知りたい方は、「いじめ自殺(1)~(3)」の回を読んでください。

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今まさに、私たちの忘れっぽさを象徴する事件が世の話題をさらっています。
「大津いじめ事件」です。

報道では、いじめた少年たちを厳罰に処せとの意見が日を追うごとに増え、さらには「いじめた側の少年への出席停止」の活用が「10年間に全国で23件しかなかった」と言い放つ記事も見られます(いじめた側出席停止、10年で23件)。

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「どんな障害が待っているのか?」と、気になる方はぜひ映画を観ていただけたら、と思います。
ここでは私がなぜ映画『少年と自転車』に興味を持ったかをお話します。

それは、脚本と監督を手がけたジャン・ピエール氏とリュック・ダルデンヌ氏の記者会見の模様を偶然、テレビで見たからです。

「歴史は心的外傷を繰り返し忘れてきた」・・・心的外傷(PTSD)の研究で有名なアメリカの精神科医であるジュディス・L・ハーマン氏の名著『心的外傷と回復』(みすず書房)第1章のタイトルです。

ハーマン氏は、抑圧した辛い記憶が不合理な身体症状や現実感の欠如または記憶の障害(ヒステリー症状)の研究、戦争体験による外傷、女性の性的外傷の研究が、活発に行われたかと思うと、あまりにも激しく忘却されてしまう時期があることを示し、「なぜ忘却されてしまうのか」をここで書いています。

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もちろん、「もらえるものはもらっておかなければ損」と、生活保護にあぐらをかいている人がいるのも分かっています。

「親と縁を切りたい」「配偶者に心を入れ替えて欲しい」などと訴えてくるクライアントさんの周辺に、そういった考えの持ち主がいることも、ままあります。
中には、ほんとうは働けるのに生活保護をもらったうえ、子どもや配偶者などからお金を吸い上げて遊び暮らしている人もいます。

こうした行為自体は、決して許されることではありませんし、きちんと是正されてしかるべきです。

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想像してみてください。

たとえば、幼い自分を置いて家を出て行き、その後、一度も会ったことのなかった母親を、ある日突然「扶養義務があるから引き取りなさい」と言われたら、あなたはできるでしょうか。

虐待され、逃げるように父親から逃れたあなたが「父親の面倒をみろ」と言われたら、すんなりと納得できるでしょうか。

その逆もあります。
離婚した配偶者と共に家を出て、長年音信不通だった我が子が「生活に困っているから」と連絡して来たら、あなたはいくつもの思い出を分かち合って来た子どもと同じように深い愛情を持って受け入れることができるでしょうか。

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何しろその後、自民党議員が求めた「生活保護費10%カット」に対し、小宮山洋子厚労相が「自民党の提案も参考にして検討したい」「親族側に扶養が困難な理由を証明する義務を課したい」などの見解を示し、いつの間にか「不正受給をどう減らすか」ではなく、「いかに生活保護受給を減らすか」という議論にすり替わってしまいました。

長年、社会保障費を削りたくて仕方なかった政府と、浮いたお金を経済成長に振り分けて欲しかった財界が願ってもない状況が生まれたのです。

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本来、負担を強いられた国民の怒りの矛先は、こうした社会構造をつくり、維持している人々(強者)へと向けられるべきですが、なかなかそうはなりません。

ひとつつまずけば、すぐにも転げ落ちてしまう「すべり台社会」において、必死で手すりにしがみつき、それでも上を目指すことを強いられる世の中において、表に出せない鬱積した不満や怒りは、それをぶつけやすい弱い立場の人々へと向かいがちです。

そして、強者は、その流れをつくるための仕掛けを用意することを怠りません。

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そもそもどうして生活保護受給者がこんなにも増えたのでしょうか。

厚生労働省の発表によると、今年2月の生活保護受給者数は前月に比べ5499人増の209万7401人、受給世帯数は同4483世帯増の152万1484世帯。どちらも過去最多を更新しました(2月の生活保護受給者数は209万7401人で過去最多を更新)。

生活保護生体が急増しはじめたのは2009年度頃。前年の2008年はリーマンショックがあり、世界的な金融不安が起きた年でした。
規制緩和などのいわゆる小泉改革によって、労働条件は悪化し、不安定雇用、生活困窮世帯が増え続けてきた中で景気が落ち込み、「派遣切り」が社会問題として大きく取り上げられた時期でもあります(生活保護世帯数と保護率の推移

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そのことを心底、実感したのが、「生活保護 福祉事務所に『警官OB』」という記事を見たときです(『東京新聞』2012年4月5日)。

背景には、2010年度の生活保護不正受給件数が2万5000件と前年度比29%に膨らみ、総額約129億円という過去最悪の数字を記録したことがあるのかもしれませんが、生活保護費の実態をきちんと検討しているのかは疑問です。

同記事によると、不正受給が増えているのは事実でも、10年度の生活保護費全体に占める割合は金額でわずか0.38%。
近年は0.3%台で推移していて変化は少ないとのこと。

また、記事中に登場する「全国公的扶助研究会」の渡辺潤事務局長は「不正受給とされたケースの中には子どものアルバイト代に深刻義務があることを知らなかったなど、故意ではないケースも多い」と訴え、福祉行政に詳しい弁護士は「まずはケースワーカーが現状では少なすぎる。きめ細かく対応できるよう適正な人数を配置するべきだ。悪質な不正は必ずしも多くない。そのつど、警察と連絡を取り合えば十分だ」と提言しています。