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さらに昨今は、学校教育だけでなく家庭でも、と子どもに恐怖心を植え付けて「うそはいけない」と教え込む“しつけ”がブームになっています。

それを反映するのが、『絵本 地獄』(風濤社)の大ブレイクです。そこには、うそをつくなど悪いことをした人が鬼に体を切り刻まれたり、火あぶりや釜ゆでになったりというリアルな地獄の光景が描かれています。

『地獄』は1980年に発行され、これまでは年に2000冊売れるかどうかの商品だったのに、今年に入ってなんと17万部の売り上げです。

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前回のブログで紹介した『あなたの中の異常心理』の著者である精神科医の岡田さんは、こうしたリア王とコーデリアの性格を「どちらも気性がまっすぐで、誠実だが、その一方で強情で、我の強い一面をもち、一面的な見方にとらわれやすい」(同書138ページ)と述べ、さらにこのような人は「高い観点から事態を俯瞰し、賢明な行動を選択することができない」(同書139ページ)と述べます。

そして「真っ正直でウソがつけず、誠実な性格というものは、その意味で面倒を引き起こしやすい一面をもつといえるだろう。それは、心に二面性を抱えられないという内面的構造の単純さに由来する問題であり、語弊を恐れずに言えば、ある種の未熟さを示しているのである」(同書139ページ)と、分析しています。

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もちろん、「うそをつくこと」自体は、まったく悪いことではありません。

私たち人間は、自分自身にさえうそをつきながら生きています。
現実を見ないようにしたり、自分の本心に気付かないようにしながら、葛藤をやりすごし、どうにかバランスを取ることは、健康に生きていくために欠かせない能力です。

もしそうした能力がなければ、辛い現実や受け入れ難い事実に飲み込まれ、日々の生活はたちまち立ちゆかなくなるでしょう。

無意識を発見した精神科医のフロイトは、こうした心の働きを防衛機制と呼び、「だれもが心理的葛藤から自分を守るために行っていること」と述べました。

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「貧困の連鎖」や「経済格差の固定化」が言われる一方で、「長引く不況」と言われながらも高額所得者は急増しています。
『税金は金持ちから取れ 富裕税を導入すれば、消費税はいらない』(武田知弘著/金曜日)という本によれば、信じられないことに億万長者は10年前の3倍に激増しているそうです。

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ここまで二枚舌ではないにしても、うそをついてきたのは現政権だけではありません。

たとえば、このブログでも何度かとりあげた「ゆとり教育」(詳しくは「本音とたてまえ、オモテとウラ」参照)の変遷を思い出してください。

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そしてエネルギー政策や復興対策予算の使い方をめぐっても、民主党率いる政府の不誠実さ、その厚顔無恥ぶりが浮き彫りになりました。

「30年代の原発稼働ゼロ」の理想を掲げ、原発の新増設を認めない方針を打ち出しながら、従来通り核燃料サイクルなどを維持。使用積み核燃料を加工したプルトニウム・ウラン混合酸化物(MOX)燃料を全炉心で使用する、「世界初のフルMOX原発」である大間原発(青森県)の建設も再開されました。

「すでに着工されていた大間原発などは、現行法令上、(設置許可を)途中で取り消す制度はない」というのが枝野幸男経済産業大臣の言い分です(『東京新聞』2012年10月5日)。
その姿勢に、原発推進、脱原発派双方から批判が噴出しています。

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そうした真実はあったとしても、「チルドレン・ファースト(子どもが一番)」と言い続け、その実現に向けた施策として公約に掲げたものを守り続けることは大切だったはずです。

前回のブログで述べたように、子ども手当に象徴される「お金を配って、保護者それぞれの経済力に応じたサービスを買わせる」という民主党の各子ども施策は、実際には子どもを福祉から遠ざけるものではありますが、民主党らしい子ども観・子育て観を映しだした政策であったことは確かです。

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「たとえどれほど極悪非道な悪事を働いた犯罪者だとしても、その人がそのような人間にしか育つことができなかった悲しみや辛さを忘れるべきではない」

私はずっと、そんなふうに考えてきました。もちろん、今でもそのように思っています。
その人の犯した罪は、もちろん責任を問われるべきことですが、その人が罪を犯すような人間にしか成長できなかった責任までをその人に負わせることはできないのですから・・・。

またまた本からの引用になってしまいますが、今回のタイトルは80年代にアメリカで、90年代に日本で話題となった精神科医で心理療法カウンセラーのM・スコット・ペックの本からお借りしたものです。

スコット・ペックは、診療室で多くの人々と出会った経験から、「世の中には“邪悪な人間”がいる」と考えるようになり、個人から集団まで、人間に宿る悪の所業とその心理的側面を『平気でうそをつく人たち 虚偽と邪悪の心理学』(草思社)として記しました。

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橋下流の強力なマネジメントなど導入しなくても、すでに教育現場には管理・統制が行き届いています。

管理・統制が、教師を追い込み、人と人との関係を分断し、人間らしい情緒的な営みを破壊し、子どもの成長・発達となる教師との関係を奪っています。その結果、子どもが人の痛みに共感したり、生命を尊重したりすることができるような人格に向け、成長・発達できる機会が奪われてしまったのです。

いじめは、このような非人間的な学校教育にむりやり適応を迫られたストレスや苦しさを訴える子どものメッセージです。

そこに産業界の望む人材育成しか頭にない橋下流教育マネジメントが持ち込まれれば、教員も子どもも、今よりもさらに追い詰められます。