前回紹介したような「先進国に生まれ育ちながら、努力しようとしなかったり、他人様に迷惑をかけるような人間は甘えている」という考え方を持つ人たちは、発展途上国の子どもも、もちろん先進国の子どもも、視野に入れてつくられた国連の条約である子どもの権利条約について、間違った解釈をすることがしばしばです。
たとえば、元国連人権小委員会委員でもある波多野里望氏は、「この条約は、そもそも発展途上国の子供の人権環境を改善することを主な目的」とし「子供の権利を突出させることを要求しているわけではない」(元国連人権小委員会委員・波多野里望氏)と解釈しています(引用)。
そして、いまだに保守系の議員の方は、これと同様のことをよく口にします。
今年は、ちょうど子どもの権利条約の国連採択20年、日本批准15年の節目に当たる年なのですが、まだまだ子どもの権利条約を正しく理解している人は少数です。何しろ、日本政府でさえ、つい多波野氏のような立場を取っていました。