感情はもううざいし要らない(7/8)

2019年5月29日

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ところが現実には、『感情はもううざいし要らない(5)』で紹介した少女のように、子どもが安心して欲求を出すことができないおとなとの関係性が少なくありません。

おとなの側が、「こうあるべき」「こう感じろ」「こんなふうに振るまえ」とさまざま子どもに要求し、子どもを混乱させ、子どもから安全感や感情を奪い、うまく成長発達できないようにしてしまっている例がめずらしくないのです。

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新聞への反響

『東京新聞』(2009年8月23日)には、
「両親と子どもの四人家族で、男児は習い事もして服装もきちんとしているみかけは『まとも』な家庭から、毎日のようにヒステリックに叱責する母親と泣き崩れる悲痛な男の子の声が聞こえる」
という隣人からの訴えが載っていました。

隣人は、その様子にたえかねて何度か行政にかけあったそうですが、外傷などの目に見える虐待が無いと言うことで抜本的な改善に至らないということでした。

さらに9月23日の同紙には、続々と届くこの記事への反響が載っていました。記事によると「同じような母子がいる」と同様の事例を伝える投書が相次ぎ、中には「これは自分のことではないか」とか「娘の養育態度が記事の事例と似ている」という祖母からの投書もあったそうです。

この祖母の娘は「孫にピアノや水泳、英語などいくつも習い事をさせ、『命じた勉強をしていない、ピアノの練習が短い』などの理由で怒り、その剣幕に怯える孫に『そんなに怖いならなぜ言うことを聞かないのか』と絶叫する」と言います。
孫は「いつかママを殺したい」とつぶやいたこともあるとそうです。

ゴミ箱の中で生き途絶えて・・・

子どもの姿をそのままで受け止めることができず、悲しい事件となってしまうこともあります。

昨年12月には、都内のあるマンションで両親が2歳半の男の子をゴミ箱に閉じ込め、殺してしまうという事件がありました。

『東京新聞』(9月23日)によると、男の子が生まれた頃、両親は男の子をとてもかわいがっていたそうです。

ところが男の子は成長が遅く、手がかからなかった姉たちに比べるととても大変な子どもでした。
母親の愛情は次第に焦燥感に変わり、イライラを男の子にぶつけるようになりました。食事を拒む男の子に何も食べさせなかったり、椅子に縛り付けて無理矢理口に食べ物を押し込んだこともありました。

子育てに無関心だった父親にも「しつけ」に協力するようもとめ、父親が男の子をベッドに縛り付けるなど、事態はエスカレートしていきます。

事件の日、なかなか寝付かない男の子に腹を立てた両親は、男の子をプラスチック製のゴミ箱に入れてふたを閉め、ポリ袋をかぶせた上にゴムをかけて閉じ込めました。
両親がふたをあけたのは半日後。男の子は、少量のゴミにまみれて息絶えていたました。(続く…

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Posted by 木附千晶