「新学習指導要領をいち早く先取りした」(静岡県吉田町の浅井啓言教育長)とはどういうことなのでしょうか。
『朝日新聞』(2017年7月27日)によると、2020年に実施される新指導要領では、小学校中学年で「外国語活動」、高学年で「英語」が導入されることもあり、授業時間数が今と比べて年35時間増えるそうです。各自治体は、その時間を捻出しなければなりません。
今回の吉田町が行った「夏休み16日間に短縮」はその選択のひとつでした。
同記事によると、吉田町の夏休みは08年度までは全国でも標準的な39日間だったのに、今の指導要領で授業時間数が増えたため、10年度には30日前後まで短縮となったそうです。
今年度はさらに短くなって小学校は23~24日間、中学校は29日間まで短縮。そして来年度にはお盆前後に10日間程度を休みにし、そこに週末の休みを加えて「16連休」とする予定だということです。
専門家から批判の声も
この「夏休み短縮」の裏には、教員の長時間労働緩和という目的もあるそうです。
授業日数が増えれば、1日あたりの授業時間は当然減ります。また、部活動などの時間外勤務を現在の小学校57.6時間から40時間に、中学校90.1時間を60時間以内に抑える見通しだとのこと。
こうした吉田町の決断をついて、同町を視察した文部科学省の高橋道和・初等中等教育局長は「意欲的な取り組み」と評価したそうですが、子どもはもちろん、保護者からも不満や心配の声が上がっているそうです(同記事)。
また、同記事には「1日当たりの授業時間数を減らしても、教員の帰宅は早まらない」(早稲田大学院の由布佐和子教授)や、夏休みにしたいことを問いかけると「まったりしたい」との返事が返ってくるとして「学校の目の届かないところで子どもが遊べる豊かさを、おとなが忘れてはいけない」(教育雑誌編集長で小学校教員の岡崎勝さん)などの専門家のコメントも載っていました。
「まったり」「のんびり」する時間のない子ども
子どもが「まったりしたい」と答えるという岡崎さんのコメントには、私も深く共感します。
常日頃から私も、子どもたちが「まったり」「のんびり」する時間がまったくなくなってしまったように感じているからです。(続く…)