子ども不在の国ーー第4・5回日本政府報告書に寄せて(2/6)

2019年5月29日

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今の日本の状況を見てみると、親というよりもこの社会・・・つまり国そのものが機能不全に陥っているように見えてなりません。

子どもが子どもらしく甘えたり、のんびりしたり、つまずいたりしながら時間をかけて成長・発達するような国になっていないどころか、より積極的に「おとなになる途上にいる存在である」という子どもの特性を無視し、子どもの思いや願いを潰し、成長・発達できないようにしている気がしてなりません。

それは2017年6月に子どもの権利条約に基づいて日本政府が国連「子どもの権利委員会」に提出した第4・5回政府報告書を読んでも明確な感じがします。


子どもの権利条約と政府報告書

ちょっと堅苦しい話しに感じられるかもしれませんが、子どもの権利条約と政府報告書について、ほんの少しだけ説明をさせていただこうと思います。

子どもの権利条約は1989年に国連で採択された、子どもの成長・発達のための人類の英知が詰まった「国際的な約束」です。日本は1994年に批准しました。2015年10月時点で、アメリカを除く世界196の国・地域が締結しています。
条約を批准、つまり守ると約束をした国は、定期的に国内の子どもをめぐる状況や子どもと関わるおとなの状況、子どものための施策や政策等について、国連「子どもの権利委員委員会」(以下、国連)に報告し、審査を受け、最終所見(勧告)を受けなければいけないことになっています。

日本政府は過去に3回この審査を受けています。2017年6月に提出したのは、2018年秋に行われる予定の第4・5回審査に向けての報告書でした。今回は2回分の審査を一度に行う運びになっています。

カウンターレポートも提出

政府が報告書を出したことを受け、2017年11月には市民やNGOなどが作成する報告書(ややこしいのでカウンターレポート)が提出されました。カウンターレポートは、その名の通り、政府が出した報告書に「もの申す」役割を担っています。

政府だけに任せていたら、「日本の子ども(と子どもと関わりのあるおとな)には問題は無い」「政府はこんなにちゃんとあらゆる対策をやっている」と言った内容の報告書だけを国連が読むことになってしまうからです。

今後、国連は日本政府からの報告書と同等にNGOが作成した報告書を同等の重さで検討し、2018年2月に行われる予備審査でのNGOらかのヒアリングを経て、2018年秋には本審査が開かれます。

開催場所はスイスのジュネーブです。(続く…

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Posted by 木附千晶