在宅イライラ

 一斉休校の遅れを取り戻すため、夏休みが短縮された一方、文化祭や体育祭などのイベントはほぼ中止、もしくは省略化されまた。
 毎日にメリハリは無く、楽しみもない。それなのに、「勉強だけはしろ」と言われるのですから、子どもたちが息切れを起こしても不思議はありません。

 親が家にいる時間が増えたことも、良かったのか悪かったのか。「家族団らんが増えた」という声も聞きましたが、そんないい家族ばかりではないでしょう。

 仕事を失って経済的に困窮したり、テレワークで「家が職場」になったため、家族にもその環境に適応するよう強いたり、顔を合わせる時間が増えた分だけ夫婦間、家族間の諍いが増えた家族も少なくはなさそうです。

テレビゲーム

 国立成育医療研究センターが行っている「コロナ×こどもアンケート」の第3回目の結果報告書が発表されました。
 全国の子ども2,111名、保護者8,565名、計10,676名から回答があった第3回目の報告の主な内容は以下のようなものです。

①(勉強以外で)テレビやスマホ、ゲームなどを見る時間が1日2時間以上のこどもは42%で、2020年1月と比べて41%が増えた。
②直近一週間で学校に行きたくないことが「ときどき」あったのは19%、「たいてい」が5%、「いつも」が7%。
③「家族が、コロナに関連して家での生活を変える理由をわかりやすく教えてくれるか」への回答は、「全くない」が10%、「少しだけ」が12%。
④「教師がコロナによる生活の変化に関連した考えを(あなたが)話せるように、質問したり確かめたりしてくれるか」への回答は、「全くない」が10%、「少しだけ」が12%。
⑤何らかのストレス反応がみられたこどもは、全体の73%。

 もちろん、虐待はあってはならないことです。しかし、親との分離は子どもの人格形成に大きな影を落とします。容易に引き離すことは許されません。

 虐待や親の精神疾患などの問題で、親子分離せざるを得ない状況があったとしても、重視すべきは親との再統合です。虐待親であるならば、なぜその親は虐待してしまうのか、どういう援助があれば親は変わることができるのかなどを明らかにすべきです。

 どうしても子どもを世話できない親であるならば、一緒に暮らすことは無理でも頻繁な親子の交流をどう保障するのかを考えなければなりません。

乳児

「『乳児に虐待』児相が誤認→両親1年3ヶ月別離」(『東京新聞』20年10月16日)という記事を読みました。

 この記事によると、兵庫県明石市で2018年に「子どもの右腕のらせん骨折は虐待」として、当時生後2ヶ月の子どもが児童相談所に一時保護されることになり、その後、1年3ヶ月もの間、乳児院で過ごしました。
 明石市長は、「大切な期間に長期にわたり、親子の時間を奪ってしまい申し訳ない」と謝罪したそうです。

「愛」という名のやさしい暴力

 扶桑社より、『「愛」という名のやさしい暴力』が出版されました。『すべての罪悪感は無用です』に続く、精神科医・斎藤学先生の名言集&その解説の第二弾です。

『罪悪感は無用です』が、機能不全家族で育った人が楽に生きられるようになるための指南本のような要素が強かったのに対し、『「愛」という名のやさしい暴力』は主に共依存を中心とする「家族の『「愛」という名のやさしい暴力』問題」、「女らしさ」や「男らしさ」などの「らしさの病」に関する名言が多くなっています。

不況

 閉塞した社会、お互いの様子をうかがいあう監視社会では、人は不満やねたみをため込みやすくなります。経済不安が加われば、その状況は加速します。

 アベノミクスの失敗、コロナの影響で雇用を喪失する人が急増しました。2020年に旧廃業や解散に追い込まれる企業は全国で5万件を超える可能性があり、10数万人の雇用が失われるおそれがあるそうです(『東京新聞』2020年7月26日)。

 そんな社会で人々は、常にスケープゴートを必要とします。SNSが発達した昨今、対象さえ見つかれば鬱憤をぶつける攻撃は容易です。自分は安全な場所にいて、匿名のまま、対象を死に追い込むまで攻撃しても、だれからも責められません。

 フジテレビ『テラスハウス』の元出演者で、SNS上での誹謗中傷を苦に自殺した木村花さんを思い出していただければすぐにわかるでしょう。

防犯カメラ「子どもが危ない」というかけ声の下、街のあちこちに監視カメラも設置されました。

 いつの間にかそれは「子どもが被害に遭うのを防ぐ」という意味合いよりも、「子どもが非行に走るのを防ぐ」という目的の方が強くなっていったような気がします。
 平たく言えば、「問題行動を起こしたり、社会の在り方に反抗する子どもをいち早く選別し、排除ないし矯正する」ということです。

 街の「安全マップ」がつくられることで、地域に「危険な場所」が生まれました。不審者情報を流すことで、「他の人と違う」人が目に付くようになり、高い塀に囲まれた風通しの悪い家の中では、何が起こっているのか分かりにくくなりました。

 瞬く間に、異質な者の排除や、みなに同調できない者への糾弾が加速し、セキュリティ関連企業が大もうけする監視社会ができあがりました。

通学

「実態と離れた不安」について考えていて、2006年に政府が発表した「子どもの防犯に関する特別世論調査」を思い出しました。

 この世論調査では、「子どもの犯罪被害の不安」が「ある」との回答はなんと74%! ものすごく高回答です。ところがその理由というのが、明らかな印象論でした。「テレビや新聞で、子どもが巻き込まれる事件が繰り返し報道されるから」が85.9%だったのです。

COVID-19報道

 ニュースを見ても、ワイドショーを見ても、インターネットを見ても、話題はコロナ、コロナ、コロナ・・・。

 それ以外にもたくさん大事なニュースはあるのに、うっかりすると見過ごしてしまうほど小さくしか報道されません。

 個人的にもっと知りたかった事件のひとつが京都アニメーション放火殺人事件です。ちょうど去年の7月に事件があったので、コロナがなければ今年7月にはその後の状況や被疑者の人となりなどが大きく報道されていたのではないでしょうか。

 同様のことが2017年7月に起きた相模原障害者施設殺傷事件についても言えます。気をつけて見ていないと、報道されたかどうか見落としてしまうほどでした。ご遺族の方が「忘れないで欲しい」と、事件の風化を訴えておられました。

子ども

 学校が再開しても、子どもたちを待っていたのは「新しい生活様式」を取り入れた日常とは違う学校生活でした。

「分散登校・分散クラスで、前後左右にはだれも人がいないし、話しをするのもはばかれる雰囲気」
「マスクを取っていいのは体育のときだけ」
「先生(教卓)との距離をうんと離して授業している」

 ・・・そんな話を聞きました。