不信オリンピック(1)
今年の東京オリンピックほど、その事実を白日の下にさらしたオリンピックはかつてなかったのではないでしょうか。
世論調査によるばらつきはありますが、少なくとも6割強から多いものでは8割もの国民が反対し、東京では毎日1000人を超えるコロナの感染者数が確認されるなかでの開幕です。
7月30日には、3日連続で都内の感染者が3000人を超えました。医療体制も逼迫状態で、通常の医療への影響が心配されています。
同日、菅義偉首相は東京都と沖縄県の緊急事態宣言を8月31日まで延長すること、埼玉県、千葉県、神奈川県、大阪府に緊急事態宣言を出すこと、北海道、石川県、京都府、兵庫県、福岡県で、まん延防止等重点措置を実施しすることを発表しました。
それでも「中止はない」(菅首相)
それでも菅首相は「オリンピックの中止はない」と言い切りました。
(『朝日新聞』21年7月27日)によると、先の四連休時には、首都圏から移動した人は18万人。それでも「人流は減っている」(菅首相)のだそうです。
小池百合子都知事も「オリンピックはステイホームに貢献している」(『東京新聞』21年7月29日)との認識です。
危機感を薄めたオリンピック開催
「国が祭典であるオリンピックを開催しているくらいなんだから、多少、出歩いても問題無い」という意識が広がっている、ということでしょう。
私も同感です。去年の緊急事態宣言時には厳密にステイホームを守っていた人たちが「だって、オリンピックやってるし・・・」と言うのをたびたび聞きました。
オリンピック開催が、「真剣にコロナ対策などしなくてよい」とのメッセージになってしまっています。
ずさんなコロナ対策
そもそも、国のコロナ対策を見ていると、とても本気というか、正気とは思えません。
国が「どんどん接種してほしい」「接種は順調」と豪語したワクチン供給量は足りず、防衛省の大規模接種センターでは「予約が消える」「虚偽番号でも予約可能」逆に「正しい番号でも予約ができない」などのトラブルが続いています(『東京新聞』21年7月22日)
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大会関係者らへの定期的なPCR検査についても、未受検者への警告は全員でなく、対象者を抽出して行うと記載した内部マニュアルを作成していました(『東京新聞』21年7月22日)。それでも、すでに100人を超える陽性者が出ています(『毎日新聞』21年7月23日)
ずさんなコロナ対策は棚に上げ、菅首相は、「若い世代での感染が急拡大している。40代、50代の重症者が増加傾向になっている」(21年7月30日の会見/『NHK』)と、責任を若い世代に転嫁してはばかりません。