子どもを支配するおとな(3)
子どもの人格形成にも有害です。
アイデンティティをつくっていく時期に、こんなダブルスタンダードを突きつけられたら、子どもたちは混乱します。そして、「本音と建て前を使い分けることが大事」と学習し、「面従腹背で世の中を渡る」ことを覚えていきます。
突飛な頭髪も意見表明
そもそも髪を染めたり、パーマをかけたり、目立つヘアスタイルにするのも、子どもの意見表明です。そうやって子どもは、「ねぇ、ねぇ、こっちに顔を向けてよ」と呼びかけています。
子どもが気づいて欲しい思いつつ、心の中にしまっている思いは、「学校や先生への不満」かもしれません。「将来への不安」かもしれないですし、「両親が喧嘩ばかりで耐えられない」ということかもしれません。
いずれにせよ子どもたちは、自らは語れない、だけど聴いてほしい思いを「髪を染める」というたちで表現し、助けてくれる人間関係を求めているのです。地毛証明書は、そんな子どもたちの声を封じ、SOSを見えにくくし、周囲のおとなとの間につくろうとしている関係性を奪ってしまいます。
「愛する」とは「自由にする」こと
支配や管理によって子どもに言うことを聞かせようという風潮は、どんどん強まっているように思います。
たとえば昨今、「子どもの安全」を理由に登下校にはおとなが付き添い、親が不在の放課後には送迎付きの習い事。「ひとりで留守番などとんでもない」と考える親が増えています。
確かにそうやって子どもを監視し続ければ、「身の安全」は確保できるかもしれません。しかし、そうやって、ずーっとおとなの視線を浴び、道草をくうことも、ひとり自由に過ごす時間も、秘密をもつこともできないまま成長していくことが、「心の健康」を損ないはしないでしょうか。
自分で自分の身を守る経験や、自分らしさを育てること、自ら何かをやってみようという意欲をそいでしまったりはしないでしょうか。
支配し、管理することと、愛することは違います。「愛する」とは安心と自信を与え、子どもを自由にすること。そんなことを強く感じる、今日、この頃です。