オンライン授業の弊害(1)
「おうち時間」だの「おこもりで時間が増えた」という人も多いのに、「いったい私は、何にこんなに時間を取られているのか?」と考えると、大きな要因は大学の授業のほとんどがオンラインになったことだと思います。
もちろん、新しい相談室(CAFIC 池袋カウンセリングルーム)を立ち上げたことなどもありますが、ダントツで時間を割いているのは、オンライン授業の準備です。
対面授業であれば、その場で資料を示したり、説明したり、ホワイトボードに書いたりすればいいことを、あらかじめコンテンツをつくりこまなければならなくなりました。
しかも私の場合、ほとんどがオンデマンド授業となったため、パワーポイントをつくってから、そこに音声を乗せていく必要があり、吹き込み作業というのも必要になります。
これが思いのほか、時間がかかります。去年などは、1コマ分の授業のコンテンツをつくるのに丸々1日はかかるという状況でした。
オンライン授業の評価
文部科学省が2020年12月に発表した学生調査でも、過半数の学生がオンライン授業の継続を望むという結果になっています。
しかし、私が学生から聞く生の声では、否定的な意見が大多数です。
「対面授業を増やして欲しい」「対面授業のほうが、圧倒的に頭に入ってくる」などという意見をよく聞きます。
“授業時間そのもの”だけでなく、休み時間や行き帰りに交わす友達との何気ない会話が「課題のヒントになる」とか、「勉強の仕方を知る機会になる」という意見もありました。
オンライン授業は、どうしても“ひとりで課題をこなす”作業になりがちです。
しかし、人間は感情の動物であり、関係性のなかで生きる生き物です。無機質で変化の無い空間で、ひとりで学ぶよりも、だれかと一緒に五感を使って、感情を動かしながら学ぶ方が記憶に残るし、深い洞察や思考に結びつくというのは当然のことです。