教育基本法「改正」で子どもが育つか?(1/4)
今回は、子どもたちが本音を語ることができない現実について書く予定でしたが、急遽変更。緊急事態である教育基本法「改正」について取り上げさせていただきました。
今、教育基本法「改正」案(「改正」案)が参議院で審議されています。
最も「改正」の影響を大きく受ける子ども、そして保護者や現場の教師の多くが、いったい何が論議されているのか、「改正」されれば何がどう変わるのか想像もつかないまま、早ければ今月8日、延びても来週には可決される見通しが強まっています(教育基本法「改正」情報センター)。
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このままでは、多くの人が今の教育基本法のことも知らないまま「教育基本法は時代に合わない」「教育基本法のせいで子どもたちの状況が悪くなった」などという宣伝文句だけが先走りし、「改正」案は成立してしまいます。先月、与党による単独・強行採決という、力づくによって衆議院で可決されたように。
しかし、この「改正」案も、その審議のプロセスも問題をいっぱいかかえています。
以前、このブログ(「奈良放火事件から考える」)でも書いた通り、「改正」案は、「分に応じて国や社会に役立つ人材を育成する」ことを目標としています。その目標達成のため、教育現場には企業経営の手法が持ち込まれます。教育内容と、その達成度の基準を国が決め、上意下達の命令と規律、競争原理を用いて子どもたちを叱咤激励し、指導し、さらには選別・序列化することになります。
こうしたことを実現する法律に「改正」されれば、子どもが成長するために必要な「おとなとの受容的で安心できる継続的な関係」は、こなごなに破壊されてしまいます。
そんな「改正」案であるのに、その審議の過程で「子どもの成長や発達に何が大切なのか」「教育とはどうあるべきなのか」など科学的、歴史的見地に立った教育論議がいっさいされていません。「本当に教育基本法のせいで子どもたちの状況が悪くなったのか」も、「何が子どもたちの成長発達に必要な土台を壊してきたのか」も、まったく検証されていないのです。(続く…)