『平気でうそをつく人たち』(3/9)
そうした真実はあったとしても、「チルドレン・ファースト(子どもが一番)」と言い続け、その実現に向けた施策として公約に掲げたものを守り続けることは大切だったはずです。
前回のブログで述べたように、子ども手当に象徴される「お金を配って、保護者それぞれの経済力に応じたサービスを買わせる」という民主党の各子ども施策は、実際には子どもを福祉から遠ざけるものではありますが、民主党らしい子ども観・子育て観を映しだした政策であったことは確かです。
目玉の子ども施策の転換
ところが野田首相は、民主党の目玉だった2つの子ども施策をいとも簡単に撤回してしまいました。
そのひとつが保育(子育て)改革「子ども・子育て新システム」(「新システム」)の中核を担う「総合こども園」の創設撤回です。まずはこれが自民公明両党が言う「『認定こども園』の拡充」になりました。
もうひとつは、「子ども手当」が自公政権時代の「児童手当」に戻ったことです。
「児童手当」と「子ども手当」との大きな違いは、所得制限が復活したことです。たとえば夫婦のどちらかが働いていて、子どもが2人いる世帯の場合、年収960万円以上だと手当は出ません。
高所得世帯には“当面”子ども一人につき一律5000円が支給されることになります。
国民を欺く人
念を押しておきますが、私は民主党の言うような「総合こども園」も、「新システム」も、「子ども手当」も、まったく歓迎などしていません。
ただ子どもの成長・発達を支える子育ての根幹を担うものであり、その党の理念を体現するものである大事な施策が、こんなにも簡単に転換されてしまったことに驚いているのです。
しかもこれらの施策の転換は、消費税増税法案を通すための取り引きの材料に使われました。経済界の望む消費税の引き上げを何よりも優先したい民主党は、自公両党に消費税増税法案の可決に協力してもらうため、目玉であった子ども施策を手放したのです。
それだけでも十分驚くに値することですが、その後、民主党は時期衆議院選挙のマニフェスト(素案)に「『児童手当』の5割増」を盛り込むという、ビックリすることをやってのけました。
こんなふうに、言質を弄して国民を欺く人を「平気でうそをつく人たち」と呼ばずして、なんと呼んだらいいのでしょうか。(続く…)