生い立ちと人格(1/5)

2019年5月29日

連日、メディアでも街頭でも衆議院議員の選挙戦が熱く繰り広げられています。
今回は第三極と呼ばれる政党が数多く乱立し、いったいどこの政党を応援したらいいのか、何を決め手にしたらいいのか、いつも以上に分かりくい状況です。

何しろ前回までのブログに書いたように、権力を握った人間は、私利私欲のためなら「平気でうそをつく」ことがあります。耳障りのいい言葉や、心にもないうそ、思わず飛びつきたくなる公約を掲げて、私たちを欺こうとします。

そんなうそにだまされないためにも、党の看板である政治家がいったいどんな人物なのかをよく見極めなければなりません。

ところがこれが、なかなか難しいのです。著書や過去のコメントをひっくり返さなければ、どんな人物なのかが分からないことが多いですし、「個人情報の保護」だの「プライバシーの侵害」などという言葉をいくらでも隠れ蓑に使える昨今、そう簡単なことではありません。

橋下氏への『週刊朝日』の謝罪

つい先日も、日本維新の会代表・橋下徹大阪市長の出自をめぐる『週刊朝日』の連載記事に対し、橋下氏が抗議。出版元(朝日新聞出版)が謝罪するという事件がありました。

この連載は「橋下氏の本性をあぶり出すため、血脈をたどる」として、橋下氏の家族やルーツに焦点を置く考えを示していました。
具体的には、橋下氏の家系図を載せ、家族や親族について述べ、その親類縁者が抱えていた問題などについても触れていました。その詳しい内容については『東京新聞』(2012年11月20日)の「こちら特報部」をご覧ください。

連載には同和地区を特定するような表現などが含まれていたこともあり、『週刊朝日』への批判の声も多くあります。
『東京新聞』の「こちら特報部」でも、橋下氏の取材を続けているジャーナリストの意見として「橋下氏の人格と直接、関係のない父親や親類の問題をなぜ取り上げる必要があるのか」との意見が紹介されていました。

人格形成には親や環境が影響する 

確かに、被差別部落の地名を記したことなどについては疑問があります。差別を助長するかのような表現も戒められてしかるべきですし、人格との関係で言うのであれば視点の当て方がとても乱暴だったことは事実でしょう。

しかし、「人格の形成に親や親族との関係や育った環境が影響する」ということは、心理学的視点で見れば紛れもない事実です。
「公の人」たる政治家の生い立ちや出自を明らかにすることは、その政治家の価値観や指し示す道、ひいては政策をも照らし出す、とても貴重な情報であることは否めないのではないでしょうか。(続く…

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Posted by 木附千晶