『平気でうそをつく人たち』(5/9)

2019年5月29日

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ここまで二枚舌ではないにしても、うそをついてきたのは現政権だけではありません。

たとえば、このブログでも何度かとりあげた「ゆとり教育」(詳しくは「本音とたてまえ、オモテとウラ」参照)の変遷を思い出してください。

ほんの10年で「脱ゆとり教育」へ

2012年度から実施された新学習指導要領に基づく「脱ゆとり教育」が話題になったのは耳に新しいことでしょう。

この新学習指導要領によって授業時間全体が3~6%、2009年度から前倒しで実施している理数系では約15%増加になりました。

でも、考えてみれば「ゆとり教育」が完全実施されたのは、今からわずか10年前の2002年です。義務教育期間とほとんど変わらないほんの10年間で、その中身や実態が検証されることもなく、何がもたらされたのかを省みることもなく、「ゆとり教育」は終わりました。

「ゆとり教育」の“たてまえ”

「ゆとり教育」の“たてまえ”は、「それまでの知識重視で詰め込み式の教育を改め、経験を重視し、考える力を付けさせる教育を行う」というものでした。
だから「脱ゆとり教育」になったとき、「『ゆとり教育』の理念は良かったが、うまく機能しなかった」などとの発言をたびたび耳にしました。

しかし、それはあまりにも現実が見えていないか、うそつきかの発言に聞こえてしまいます。

なぜならこの10年間を振り返ってみれば、「ゆとり教育」は競争主義的な教育体制は残しつつ、教科書を薄くし、授業時間を減らし、「分かるまで教える」教育から「その子なりに理解できるように」教育へと転換し、教育に市場原理を持ち込む方便の転換に過ぎなかったからです。

簡単に言えば、受験競争に勝ち抜くために学ぶべき内容は変わらないのに、学校で教える時間や内容を薄くし、質を落としたのが「ゆとり教育」だったのです。

「教育格差」が顕著に

だから「ゆとり教育」になった後、学校以外の場で勉強を補うことが出来る子とそうでない子の間で学力が二極化し、全体の学力も低下しました。

そして近年、よく言われている「教育格差」が顕著になりました。学校で学ぶだけでは受験競争に勝ち残れないため、学習塾などにお金を使える比較的裕福な家の子とそうでない家の子の差が明らかになってきたのです。

さらに言えば、高い教育を受けられなければ、安定した収入が得られる職業に就ける確率も低くなります。最近では「教育格差」によって「貧困が連鎖」し、経済格差が世代を超えて固定されることが心配されています。(続く…

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Posted by 木附千晶