A World Fit for Us(私たちにふさわしい世界)(1/3)
おとなは、自分たちの都合に合わせて子どもが振る舞ってくれないと「今時の子どもは・・・」と、子どもの側に問題があるかのように言います。子どもが何を感じているのかを聴こうともせず、自分たちの都合のいいように子どもをつくり変えようとするおとなもいます。
しかし、アメリカの心理臨床家J・Swigartは言います。
「子どもは、私たち自身や私たちの生活、自分たちが適応しなければならない社会にどこか問題があるとき、その行動を通して教えてくれます。・・・私たちの行動が真に破壊的になると、子ども達はギョッとするような悲劇的なやり方で警告してくれます。
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ティーンエージャーの自殺やうつ病、暴力事件の増加や学校における不法な薬物の蔓延などで、このような現象は低年齢化し、いまや思春期前の子どもの間にまで広がってきています。
子どもたちの行動の意味するところや子育ての心理的な現実を探ることによって、私たちの病める時代が抱える病弊のより深い意味を理解することができるのです」
(『バッド・マザーの神話』308〜309頁:斎藤学監訳/誠信書房)
さらにJ・Swigartは、
「子どもを育てることが難しい情緒の剥奪された社会は、攻撃性や破壊性を増幅させ、戦争へ向かわせやすくする」
として、そうしたネガティブなものが子どもたちの生活へとあふれ出すことを止めなければならないと警告しています(同書)。(続く…)