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image100908.jpg そして、さらにさらにすごいことに、国連「子どもの権利委員会」の最終所見は、子どもと親や教師との関係が希薄化している原因として、この間、政府がずっと行なってきた(民主党政権になってさらに強化されようとしている)(1)労働の規制緩和や民営化政策などに代表される企業優遇の施策を挙げました。

そんな企業に利益をもたらす施策に多くのお金が使われる一方で、(2)社会保障や教育費をなるべく出さないようにする財政政策が取られてきたこと、(3)保育所や児童養護施設など、子どもに関する施設の最低基準や、子どもに関連する現場で働く人々の労働条件などの最低基準が低下の一途をたどっていること、(4)企業利益を拡大することを最優先課題とするがあまり、子どもへの予算配分が配慮されていないことなどが原因であるとし、(5)こうした施策を背後から操っている財界に対し、政府がまったく規制をかけようとしていないことをも問題視しています。

もちろん、(6)少子化になっても変わらない相変わらず続く高度に競争主義的な教育制度についても見直すよう述べています。

政府の子ども施策は最終所見と逆行

ところが、政権交代を果たした民主党政府がこれから進めようとしている子ども施策には、そんな国連「子どもの権利委員会」の最終所見は反映されていません。それどころか、逆行する内容になっています。

たとえば、この6月に打ち出された「子ども・子育て新システムの基本制度案要綱」(新システム)を見てください。

保護者と保育所運営団体との直接契約の導入、企業参入の促進を図るための最低基準の廃止など、今まで以上に市場開放・民営化を進めるものになっています。
しかもその財源となる拠出金には「本人」(保護者)を含めたうえ使った分だけ負担する応益負担とするなど、「企業に優しく一般市民に厳しい」内容。新しい儲けの場を開拓したい財界が、長年訴えてきた要望に応えるかたちになっています。

こんな新システムができあがれば、有期雇用の臨時アルバイト、派遣や短時間勤務保育者などが増加し、労働条件が悪化の一途をたどっている保育所にさらなるダメージを与えます。何しろ今、公立保育所では42.5%が非正規雇用。企業が設置・運営する保育所では、園長を含めてほぼ100%非正規雇用の園もあるくらいです。

民主党政府が目指す日本の姿は?

子どもは特定のおとなとの継続的で安心できる関係性の中で、「生きる力」のもとになる自己肯定感や共感能力などを育てていくのに、不安定雇用を強いられていては、子どもをいつでも受容し、そのニーズを読み取って応えていくなどということは至難の業になります。

ころころと保育者が変わる環境では、子どもとの間に継続した安定性のある関係など、つくりようがありません。

このような新システムは、国連の最終所見「子どもの福祉や発達に大きなインパクトを与えている企業に対し、政府はきちんと規制すべき」(パラグラフ27、28の『子どもの権利と財界』)との『最終所見』に明らかに反しています。

表面上のとりつきやすさや目先の新しさ、一見「リベラルに見える雰囲気」に目くらましをくうことなく、民主党がどんなアウトラインを描いて、どんな日本を目指して、私たち国民を引っ張って行こうとしているのか。党の代表選挙も近い今、改めて考えてみる必要がありそうです。

※写真は、レマン湖側から見た政府報告書審査会場であるパレ・ウィルソンの全景

「子どもの搾取」と言うと、ふつうは発展途上国に多い子どもに労働や売春を強いたり、子どもを人身売買の対象にするなどの行為を思い浮かべます。

しかし、最近の日本国内での統計や調査結果、新聞記事などを見ていると、「この国は、子どもの人生を搾取して、グローバル競争時代を生き残ろうとしている」と思いたくなってしまうことが多々あります。


増える就活自殺

たとえば2013年5月13日付の『毎日新聞』には、就職活動がうまくいかないことを苦にした就活自殺や「進路に関する悩み」が原因の自殺が増えているという記事がありました。

同記事によると、遺書などから就活の失敗が原因とみられる大学生の自殺者数は、警察庁が詳しい自殺原因の公表を始めた2007年の13人から、2010年が46人、2011年が41人と約3倍。「進路に関する悩み」の自殺も2010年は73人、2011年には83人にもなるそうです。

連日、エントリーシートを書いては面接を受けまくる就活が学生に与える精神的負担は図り知れません。自殺にまでは至らなくても、何十、何百という会社から突きつけられた「不採用」によって自己否定感が強くなったり、引きこもってしまうこともあります。

厳しい就職事情

背景には、依然、厳しい大学卒業者の就職事情があります。

2007年のリーマンショック以降、企業は解雇しにくい正社員の厳選採用を続け、非正規雇用者が増加しています。

新卒で大学を卒業した者も、例外ではありません。

今春の大学卒業者のうち、「安定的な雇用に就いていない者」は約11万6000人(文部科学省学校基本調査速報値)です。昨年より約1万3000人減少したとはいえ、5人にひとりが不安定雇用という計算になります。(続く…

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せっかく就職できても、賃金未払いや過度のノルマ、長時間のサービス残業を課しておいて社員を使い捨てにするブラック企業の餌食にされることもあります。

いまやこのブラック企業の問題が、昨今はアルバイトにまで広がっています。

前回も書いたように、解雇しにくい正社員の採用を控える企業では、アルバイトなどの非正規労働者が大幅に増え、店長や現場責任者など職場で中核的な役割を担う役職まで、アルバイトが担うようになったためです。

ブラックバイトの実態

『東京新聞』(2013年9月5日)には、サービス残業があたりまえの学習塾や、就職活動のために休んだら理由も無く時給を下げられた飲食店などの事例が載っていました。

学習塾講師は、時給が高いイメージがありますが、親子面談や会議への出席も強要しながら給料は授業をした分の時間給のみで、拘束時間で計算すると最低賃金を下回るケースもあったそうです(同記事)。

私も、ある女子大生から「バイトしている飲食店は“おさわり”し放題。平気で胸をもんだりお尻を触ったりしてくる客がいるが、店長は見て見ぬ振り」とか、男子大学生から「バイト中の事故で全治数ヶ月のケガを負ったが、もらったのは店長のポケットマネーから出た3000円のみ」との話を聞いたこともあります。

学生の厳しい生活環境

「たかがバイトなんだから、嫌なら辞めればいいじゃないか」という声が聞こえてきそうですが、そうもいきません。

最近の学生のふところ事情はとても厳しいのです。親の収入が減り、仕送りが下がる中で、学費や生活費を自分で捻出している学生も少なくありません。

私も、いくつものバイトをかけ持ちしている学生や、2万円弱のアパートで暮らしている学生、ルームシェアでどうにかやっている学生などを知っています。必死で働かなければ学生生活を続けられない現実が、そこにはあります。

そのうえ最近は、非正規労働者の椅子も奪い合いです。辞めてしまったら、次の仕事を見つけるのはとても困難です。(続く…

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『東京新聞』(2013年9月5日)には、こうしたブラック企業を増長させてしまう要因ともなっている、学生側のマインドについても次のような指摘がありました。

「簡単に辞めるようでは社会人として成功できないと考える学生も目立つ。激化する就職戦線に備え、バイトの職場をインターン先や修行の場と考えている」(甲南大学の阿部真大准教授・労働社会学)。
「企業の人事担当者の目を引く内容にするには他の人と違う経験がある方がいい。理不尽な苦労も面接用の応募資料に書き込める物語になると考え、我慢をする学生もいる」(日本大学の安藤至大准教授・労働経済学)。

確かに最近の高校生や大学生と話していると、「困難から逃げるのは良くないこと」「いったん何かをはじめたら途中で止めるのは負け犬」などの考えが極端に強いように感じます。

成果主義社会の影響?

よく言えばポジティブ。悪く言えば自分自身に無頓着というのでしょうか。

周囲の視線にはとても敏感なのに、自分が思っていること、感じていることをキャッチすることが下手です。だから自分の気持ちまでをどこかに押しやって、「まだ大丈夫」「逃げてはいけない」と自分を縛り、心や体を壊してしまうまで、頑張ってしまうのです。

「競争の中で自己決定をして、その責任は自分で引き受けなければいけない」と言う、成果主義の社会の影響を受けすぎていて、「自分を大切にすることは正当なこと」とは思えないのでしょう。

染みついた自己責任

幼い頃から競争の中で生き残ることを強いられてきたのですから、無理もありません。
日々、ひしひしと周囲から伝わってくる「成果を上げた者だけが価値ある者」という考えが骨の髄まで身についてしまい、「成果を上げられなければ不遇な目に遭っても仕方が無い」と自分で責任を引き受けてしまいます。

「ダメなヤツ」という烙印を押されたとしても、「そこから這い上がるか、そのままでいるのかは自分の能力次第」と考える癖が付きすぎてしまって、烙印を押した相手に「失礼なヤツだ!」と、怒ることさえできなくなっているように感じます。(続く…

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だから、「ブラックバイトと思っていない学生が少なくない。まず、認識をさせないと、相談に乗れないし、抗議もできない」と大内裕和中京大学教授(『東京新聞』2013年9月5日)が指摘するような問題も起こります。

『搾取される子どもたち(2)』でご紹介した「バイト中の事故で店長がポケットマネーから3000円をくれた」と話してくれた学生も、「自分がかってに事故に遭ったのに、3000円くれた店長はいい人だと思う」と語り、私をビックリさせました。

本来であれば、バイト中の事故の保障がまったくされないことはもちろん、店長がポケットマネーから口止め料とも言える見舞金を払うことも大問題のはずです。

それでも本人が「おかしい」と思わなければ、問題視されることはありません。

まるで階級社会

まるで昔の身分制度による階級社会のようです。

かつて世界中に、王侯貴族などの身分の高い者たちが自分たちの都合や気分で、自分よりも身分の低い者の身体生命を脅かし、傷つけ、侮辱した時代がありましたが、身分の低い者は「しょうがないこと」と甘んじて受け入れていました。

このように書くと「オーバーだ」と思う人もいるかもしれません。「なんだかんだ言っても、日本の若者たちは自分で仕事を選んでいる」「本当に嫌だったら辞めるという選択肢だって残されている」と、おっしゃる方もいるかもしれません。

「労働の搾取」

確かに、日本の若者たちの働き方は、人身売買でどこかから子どもを連れて来て働かせる強制労働や、昭和の時代に一大ブームを巻き起こし、最近も映画化された『おしん』に描かれた世界とは違うかもしれません。

しかし、理不尽な働き方も受け入れざるを得ない環境に置かれ、自らをすり減らしてまで、その身や能力を力在るものに捧げて生きていく道を強いられていることは共通しています。

強制労働を強いられる子どものように「逃げたら殺されるかもしれない」環境におかれてはいなくても、日本の若者たちは「逃げたら生き延びるのは難しい」環境におかれています。

これを「労働の搾取」と呼ばずしてなんと呼んだらいいのでしょうか。(続く…

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今後も「労働の搾取」は、さらに進んでいくでしょう。

何しろ先日、安倍首相率いる現政府は、企業が従業員を解雇しやすい「特区」をつくる検討に入ったとの報道がありました(『朝日新聞』2013年9月20日)。

特区では、労働時間を規制せず、どれだけ休日に働いても、深夜まで残業しても賃金を派割らないことも認め、契約社員などが5年を超えて同じ職場で働いても無期契約で働くこともできなくし、ベンチャー企業や海外企業を呼び込むのだそうです。

ますますブラック企業がのさばる?

同記事には、特区が実現した際に起こるであろう、こんな例が載っていました。

「例えば、『遅刻をすれば解雇』といった条件で契約し、実際に遅刻をすると解雇できる。立場の弱い働き手が、不利な条件を受け入れ、解雇されやすくなりかねない」

さらに、ほんの少しだけ過去を振り返ってみれば、今年3月には、政府の産業競争力会議が正社員の解雇をしやすくなる規制緩和について話合っていることが話題になりました。

それらが現実のものとなれば、ますます、ブラック企業はのさばります。若者たちは自分を売り渡し、企業の言うなりになって働くしかなくなってしまいます。

虐待の危険性も跳ね上げる

仕事を失わないために無理な働き方を強いられる、普通に働いていても安定して暮らすだけの収入が得られない社会は、子育て世代・親世代にとっても有害です。

不安やストレスの高まりは、子どもを虐待してしまう危険性を跳ね上げるからです。

以前もこのブログで紹介した研究結果を思い出してください。

イギリスとアメリカで編集された60以上の研究報告書をもとにした虐待の世代間連鎖の発生率研究では、普段は問題のない親も精神的ストレスが高まるとその三分の一が虐待者になるという結果を出しているのです(『いやされない傷 児童虐待と傷ついていく脳』/Martin H Teicher監修・友田明美著/診断と治療社)。(続く…

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事実、虐待の相談数も、摘発数も増えています。

全国の警察が昨年1年間に摘発した児童虐待事件は前年比22.9%増の472件、被害にあった子どもは前年比19.6%増の476人で、いずれも統計のある1999年以降、最多でした(『日経新聞』2013年7月14日)。

摘発された加害者353人の64%は「実の親」(実父143人、実母83人)で、死亡したケースに限ると加害者28人のうち実母が21人にも上っています。

「子どもの命の搾取」

また、今年4月、横浜市磯子区の雑木林で実母とそのパートナーの男性に虐待死させられた女の子の遺体が見つかった事件が世間を騒がせましたが、こうした虐待死は年間100人ほど起きています。

2013年9月4日付『朝日新聞』に「虐待死防止 課題は連携」という記事がありましたが、2011年度の虐待死(心中含む)は99人にもなるそうです。雑木林で見つかった女の子もそうでしたが、児童相談所や市町村が関わっていながらも救えなかった事例も多かったとのこと。

親が安定的な仕事について、生活を楽しみ、しっかりと子どもに目を向け、安心して子育てをすることができない大ストレス社会になっている日本では、こうして「子どもの命の搾取」も増えています。

体罰も増加?

子どもの身体・生命が脅かされているのは、家庭だけではありません。

昨年12月、大阪市立桜宮高校のバスケットボール部主将の男子生徒が、顧問の男性教諭(元教諭)から体罰を受けた翌日に自殺した事件がありました。

その後、文部科学省は体罰の実態調査を行い、今年8月に発表しました。それによると、全国の小中高などで体罰を行ったとされる教師は6721人で、前年度調査404人の17倍にも上りました。

もちろん、この数字を受けて「体罰が増えている」と言うつもりはありません。
大きく報道された事件の後ですから、従来ならばカウントされなかったり、見過ごされたり、隠されたりしていたものまでが「体罰」と認定された可能性はあります。

逆に言えば、今回の数字の方が、今まで伏せられてきた実態に近いと考えることもできるかもしれません。(続く…

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なにしろ長年、日本社会は“力による子ども支配”を「指導」や「しつけ」という名で許容、いや、積極的に肯定してきました。
そうして、「教師の言うことをよく聞く」「親の望むことをしてくれる」「おとな(社会)にとって育てやすい、社会にとって役立つ子」をつくってきました。

子どもを鋳型にはめるようなやり方は、ひとりひとりの子どもが本来持っている個性や能力が、その子らしい花となって開く機会を潰します。息苦しさに喘ぐ子どもの叫びを封印し、だれも分かってくれない寂しさに泣く子どもの声を奪います。

それでもがんばって反抗しようとする子どもは「非行少年」と呼ばれ、どうにかして「自分は辛いよ」とメッセージを発し続けた子どもは「発達障害」の枠組みにくくられ、無視されていきます。

大川小事件

実は3.11に際しては、生死を分ける極限の状態においてでさえ、子どもの声が活かされず、葬り去ろうとする事件も起きています。
宮城県石巻市の大川小学校で、74名もの子どもが命を落とした「大川小事件」です。

あの日、子どもたちは、最後まで「このままでは死んでしまう!」「先生! 山に逃げよう!」と叫んでいました。地割れを見て怖がって震えていた子もいました。恐怖から吐いてしまう子どももいました。友達と寄り添いながら「明日は生きているのか、死んでるのか」というメモ書きを残した子どももいました。

ところが、共に場にいた先生たちは、そんな子どもたちのメッセージをきちんと受け止めることができませんでした。津波が来るまでの51分間、子どもたちは校庭に留め置かれ、学校のすぐ裏にある、日常的な遊び場になっていた山に逃げた子どもは、連れ戻されたとも聞いています。

登下校中などではない、完全なる学校管理下にありながら、これだけの犠牲を出したのは大川小だけでした。

なぜ究極の叫び声が無視?

もちろん、子どもたちと一緒に亡くなった先生たちをただ責めようというつもりはありません。先生たちも必死で、子どもたちを守ろうとしていたことは間違いないでしょう。

それにもかかわらず、どうして子どもたちの「生きたい!」という、究極の叫び声が、聞き入れてもらえなかったのでしょうか。

さらに言えば、子どもたちの究極の叫びが無視されたのは、震災当日だけではありません。(続く…

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その後、奇跡的に助かった子どもたちや、震災の日「いったい何があったのか」を勇気を持って語ってくれた子どもたちの声も、石巻市教育委員会によって踏みにじられました。子どもたちが語った重要な記録が破棄されてしまったのです。

さらには、命を落とした子どもたちの代弁者として真実を明らかにしようとするご遺族たちの調査も声も無視され、石巻市が依頼した検証委員会はこの10月20日の委員会で出した「とりまとめ案」に「『山へ逃げよう』という子どもの証言は精査中」として盛り込みませんでした。

まさに三重にも四重にわたる「子どもの声の搾取」です。

大川小事件シンポジウム(東京)開催

大川小学校事件については、まだまだ書きたいことがあるのですが、それは後日にとっておきたいと思います。

もっと早く、この真実を、詳しい内容を知りたい方は、2013年11月23日(土)13時から明治大学(東京お茶の水)で開かれる大川小事件のシンポジウム(参加費1000円)にぜひ足をお運びください(詳細はこちら(PDFファイル))。

独自の調査を重ね、石巻市教委と話合う努力をし、検証委員会をずっと傍聴し続けてきたご遺族の方、被災したお子さんも登場の予定です。

小学生の9割がいじめ加害・被害を体験

究極の「生きたい!」という叫びさえも平気で無視するこの社会。子どもひとりひとりの個性や能力も潰し、今の社会にとって有為な人材育成に走っている社会に生きているわけですから、子どもたちのストレスも、不満も、ピークに達していて当然です。
鬱積したストレスや怒りは恨みに代わり、出口を求めて、はけ口となる対象を探します。

そのせいなのでしょう。
2013年8月、国立教育政策研究所が発表した調査結果によると、いじめを受けたり、いじめをしたことがある小学生の割合は、なんと90%! です。

加害者と被害者が入れ替わりながら、ほとんどの子どもが何らかのかたちで小学校時代にいじめを経験しているということになります。

前回の「いじめ対策防止推進法は子どもを救う?(4)」で紹介したスクールカーストの現状と重ねてみれば、子どもたちがいじめや序列は当たり前の環境に生きていることは明らかです。(続く…

続く…

労働を搾取され、命を搾取され、叫びとも言える声を搾取された子どもたちは、いつでも虚しさや寂しさを抱えて生きています。

それを端的に表すのが、「中高生の約52万人がネット依存」と結論づけた厚生労働省の調査結果です。

中高生52万人がネット依存

厚生労働省研究班は、2012年10月~2013年3月に全国の中学校140校と高校124校の約14万人を対象に、「問題や絶望、不安から逃げるためにネットを使うか」「ネットで人間関係を台無しにしたことがあるか」などの8問が載った調査票を送付し、約10万人から回答を得ました。
ちなみに8問中5問以上が当てはまると「ネット依存の疑いが強い」とされます。

そして回答をもとに、全国の中高生数で推計すると、「ネット依存の疑いが強い」のは、約52万人となったのです。

最も使用時間が長いのは高校生で「休日で5時間以上」は女子22%、男子21%。依存が無い子どもにくらべて「睡眠の室が悪い」が59%と2倍近く、「午前中に調子が悪い」は24%で3倍近いのですが、当事者は問題を感じていない場合が多いそうです(『朝日新聞』2013年8月2日)。

むしろ少ないくらい

それも無理はないでしょう。

現代社会で疲弊し、孤独な競争に駆り立てられ、関係性を奪われているおとな自身が、ワーカホリック、投資、ギャンブル、お酒、薬等々・・・さまざまなものへ依存を深めることで、どうにかバランスを保ち、命をつないでいます。

依存症が「空虚感に端を発し、親から子へと伝搬する病」であることを考えると、52万という数字は少ないくらいかもしれません。

日々、自分自身を支えるだけでせいいっぱいのおとなには、子どもの欲求を受け止める余裕はありません。国策に掲げられた目標に向けての競争教育も激化し、子ども同士の関係性も壊されました。(続く…