「法律で禁止されたから体罰は良くない」ということは、逆に言えば、法律で体罰を容認すれば「やってもいい」ということです。それは体罰や虐待が子どもにどんな影響を与えるのかとか、子どもを力で支配することのダメージなどについは、関心が無いということにはならないでしょうか。
「地毛証明書」に鳥肌
それを如実に表しているのが、「都立高校の4割以上が黒髪直毛以外の生徒に対し、『地毛証明書』の提出を求めているという事実です(『朝日新聞』デジタル2021年2月26日)。
「地毛証明書」は髪の色が黒以外であったり、くせ毛であったりする生徒に、地毛であることを証明する届け出です。数年前、「地毛証明書」なるものの存在を知り、そのばかばかしさに笑ったことを覚えていますが、いまだ4割以上、つまり半数近い都立高校が行っていると聞き、ちょっと鳥肌が立ちました。
東京都教育委員会が公開した資料によると、小中学生時代の写真や医師による証明書の提出を求めたり、申請以後に一度でも髪を染めたりパーマをかけた場合は届け出を失効とするなどの高校もあるそうです。
独自性を認めない国
「事実誤認による指導を防ぐのが目的。提出は任意であることを保護者や生徒に説明するよう各学校に通知している」(都教育委員会)そうですが、そもそも「黒いストレートな髪がスタンダード」という発想そのものがナンセンスです。
一方では、「多様性のある生き方を推奨する」とか「違いを認めよう」と言いながら、日々の生活のなかでは「みんなと同じでなければいけない」と強要する。口先では「あなたはあなたのままでいい」などと言いながら、髪の色や髪質のような生まれながらの身体的な独自性も認めない。
日本は相変わらずそんな国なのだ、心の底からゾッとしました。