搾取される子どもたち(2/10)

2019年5月29日

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せっかく就職できても、賃金未払いや過度のノルマ、長時間のサービス残業を課しておいて社員を使い捨てにするブラック企業の餌食にされることもあります。

いまやこのブラック企業の問題が、昨今はアルバイトにまで広がっています。

前回も書いたように、解雇しにくい正社員の採用を控える企業では、アルバイトなどの非正規労働者が大幅に増え、店長や現場責任者など職場で中核的な役割を担う役職まで、アルバイトが担うようになったためです。

ブラックバイトの実態

『東京新聞』(2013年9月5日)には、サービス残業があたりまえの学習塾や、就職活動のために休んだら理由も無く時給を下げられた飲食店などの事例が載っていました。

学習塾講師は、時給が高いイメージがありますが、親子面談や会議への出席も強要しながら給料は授業をした分の時間給のみで、拘束時間で計算すると最低賃金を下回るケースもあったそうです(同記事)。

私も、ある女子大生から「バイトしている飲食店は“おさわり”し放題。平気で胸をもんだりお尻を触ったりしてくる客がいるが、店長は見て見ぬ振り」とか、男子大学生から「バイト中の事故で全治数ヶ月のケガを負ったが、もらったのは店長のポケットマネーから出た3000円のみ」との話を聞いたこともあります。

学生の厳しい生活環境

「たかがバイトなんだから、嫌なら辞めればいいじゃないか」という声が聞こえてきそうですが、そうもいきません。

最近の学生のふところ事情はとても厳しいのです。親の収入が減り、仕送りが下がる中で、学費や生活費を自分で捻出している学生も少なくありません。

私も、いくつものバイトをかけ持ちしている学生や、2万円弱のアパートで暮らしている学生、ルームシェアでどうにかやっている学生などを知っています。必死で働かなければ学生生活を続けられない現実が、そこにはあります。

そのうえ最近は、非正規労働者の椅子も奪い合いです。辞めてしまったら、次の仕事を見つけるのはとても困難です。(続く…

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Posted by 木附千晶