搾取される子どもたち(9/10)
(続く…)
労働を搾取され、命を搾取され、叫びとも言える声を搾取された子どもたちは、いつでも虚しさや寂しさを抱えて生きています。
それを端的に表すのが、「中高生の約52万人がネット依存」と結論づけた厚生労働省の調査結果です。
中高生52万人がネット依存
厚生労働省研究班は、2012年10月~2013年3月に全国の中学校140校と高校124校の約14万人を対象に、「問題や絶望、不安から逃げるためにネットを使うか」「ネットで人間関係を台無しにしたことがあるか」などの8問が載った調査票を送付し、約10万人から回答を得ました。
ちなみに8問中5問以上が当てはまると「ネット依存の疑いが強い」とされます。
そして回答をもとに、全国の中高生数で推計すると、「ネット依存の疑いが強い」のは、約52万人となったのです。
最も使用時間が長いのは高校生で「休日で5時間以上」は女子22%、男子21%。依存が無い子どもにくらべて「睡眠の室が悪い」が59%と2倍近く、「午前中に調子が悪い」は24%で3倍近いのですが、当事者は問題を感じていない場合が多いそうです(『朝日新聞』2013年8月2日)。
むしろ少ないくらい
それも無理はないでしょう。
現代社会で疲弊し、孤独な競争に駆り立てられ、関係性を奪われているおとな自身が、ワーカホリック、投資、ギャンブル、お酒、薬等々・・・さまざまなものへ依存を深めることで、どうにかバランスを保ち、命をつないでいます。
依存症が「空虚感に端を発し、親から子へと伝搬する病」であることを考えると、52万という数字は少ないくらいかもしれません。
日々、自分自身を支えるだけでせいいっぱいのおとなには、子どもの欲求を受け止める余裕はありません。国策に掲げられた目標に向けての競争教育も激化し、子ども同士の関係性も壊されました。(続く…)