あきらめる子どもたち
「下位校の子どもを見ていると『どれだけ早いうちに諦めるか』という感じです。
親は生活に手一杯。教師も、現場の状況を無視した区の教育『改革』に振り回されて子どもを見る余裕がありません。
親身にかかわってくれるおとなに出会うことができず、『支えられて最後までやり遂げた』とか『頑張って何かに取り組んでほめられた』などの経験を持てない子どもが増えました」(足立区の中学校教諭)
こうした子どもたちの多くは、小学校段階で「自分は駄目だ」と諦めているといいます。成功体験を持つことができなかったからです。
「小学校時代の勉強までさかのぼって教えようとしても『もういい』と、やる気になれない子も多い」(足立区の中学校教諭)そうです。
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それだけでなく、中学生になったころには「進学校に行く子と自分は住む世界が違う」と格差の壁をしっかりと意識してしまっていることも少なくありません。
授業中に立ち歩いたり、騒いだりしてしまうのは、こうした子どもたちが多いそう。どうしようもないやるせなさを隠すため、つい“はしゃいで”しまうのです。
校長や教師へのプレッシャー
学力テストをすれば、絶対に学校は序列化されます。必ず一位になる学校はあるし、逆に最下位になるところも出てきます。
一位になれば「このまま頑張れ」、二位だと「もっと頑張って一位を目指せ」、下位なら「とにかく少しでも上に」と言われます。「これで十分」という終わりがないのです。
しかも、その“頑張り度”が学校の予算や評価に反映されるのです。校長や教師たちが受けるプレッシャーはどれほど大きくなるでしょう。
そのうえ、学校選択制も実施されています。「できることなら下位校ではなく上位校に通わせたい」と思う保護者が増え、学校によって生徒の数や学力に偏りが出るのは必然です。
足立区に住む小学生の母親は言います。
「予算に差がつくのは反対だし、頭では『テストの順位なんてあてにならない』『いろんなタイプの子どもと交わった方が子どものためになる』と分かっています。でも、なんとなく下位校には問題児が多い気がして避けたくなってしまう。『どうせ選ぶのならなるべくリスクは減らしたい』と思ってしまうんです。多くの人に選ばれる中学校を選んでおいた方が安心な気がして・・・」(続く…)