「人と生きる」ことを学ぶ学校(4/7)

2019年5月29日

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実はつい先日、「他者は自己の成功への妨害物として、他者への敵意を植え付けられた子ども」の影響を垣間見ることがありました。
東京都杉並区でのことです。

今、杉並区では小学校の“荒れ”が問題になっています。
授業妨害をするくらいは当たり前。下級生に鉄棒を突きつけて脅したり、街頭で消化器をばらまいたり、休日に校舎に入ってスプレーで落書きしたり、ドアを蹴り倒してガラスを粉々にしたりという事件も起きているそうです。

ところが、こうした事件はなかなか表面化しません。
日ごろは問題を起こしていても、保護者や見学者の前では“いい子”を演じられる子が多いためです。
日常の音楽の授業は成り立たないのに、合唱コンクールなどでは見事にピアノやウ゛ァイオリン弾きこなしたりするのだそうです。

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心が磨耗した子ども

事件の中心にいるのは、成績がトップクラスの、わりと裕福な家庭の子であることが多いといいます。
長く小学校で教えてきた教師は、その原因をこんなふうに話していました。

「席やクラス編成まで成績ごとに分けられる塾で、毎日遅くまで勉強していたらストレスもたまる。競争によって子どもたちの心が摩耗してしまっている」

競争を助長する多くの「改革」

杉並区では、現在三期目となる区長の旗振りの下、大手企業やメディアも巻き込み、競争を助長する多くの「改革」が断行されてきました。

いくつか例を挙げると、学校選択制、学校運営協議会に人事権や運営権限まで持たせる地域運営学校、三菱総合研究所に1200万円でカリキュラム作成を委託した小中一貫校、行政の負担を保護者に担わせ、寄付金を呼び込む受け皿にもなるボランティア団体・学校支援本部の設置などです。

競争が激化する中で、各学校は子どもがたくさん集まるような「良い学校」であることをアピールしようと、しのぎを削っています。
競争的な「改革」が進む他の地域と同じように、子どもひとりひとりの思いや願いよりも、学校の体面や見かけの良さを宣伝することに必死になるようになったのです。

競争で勝ち上がった民間人校長

こうした競争で勝ち上がったのが区立和田中学校(和田中)です。
和田中は、リクルート出身の校長を登用し、「日本初の民間人校長のいる学校」として注目されました。

民間人校長は、その職歴と人脈を活かし、著名人や芸能人による講演会や、外部の人や情報を取り入れて社会問題などを扱う「よのなか科」、英検講師が土曜日に授業する「英語アドベンチャーコース」など、今までの公教育ではとても出来ない特別授業で、保護者の気持ちをとらえ、多くの子どもを呼び込んできました。

中でも話題になったのは今年1月に同区立和田中学校(和田中)ではじまった大手進学塾・SAPIXと提携した有料の夜間授業「夜スペシャル」です。

注:文中の民間人校長は2008年3月末日で退任し、2008年4月からは別の民間人校長になっています(続く…

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