私がよく知っている大学生にこんな女の子(A子さん)がいます。
A子さんは、大企業に勤める父と教師の母、妹の四人で暮らしていました。母は教育熱心、ボランティア活動などにも精を出す人で、親戚には大学教授など社会的に高い地位にいる人物も多い家系。端から見ると理想の家族で、おそらくA子さんの両親もそう思っていたことでしょう。
ところが15歳のとき、A子さんは「ここにいたら死んでしまう」と、家を出て知人宅へ転がり込みました。
そのときの心境を次のように語っています。
「暴力を振るわれたり、ご飯をもらえないなんてことはなかったけど、ずっと『自分は受け入れられていない』と感じながら生きてきていました。親から温もりとか安心感を受け取ったことがないんです。家にいてもいつも自分をつくって、親に気に入られるよう振る舞っていました。話をするときも親が一方的に、自分の言いたいことを話すだけ。私の言い分を聞こうともしませんでした」