依存症

 2019年11月16日、女優の沢尻エリカさんが合成麻薬のMDMAを所持していた疑いがあるとして麻薬取締法違反容疑で逮捕されました。

 2019年に入ってから、有名人が違法薬物使用で逮捕されるニュースが続いています。

 ざっと振り返って見ても、ピエール瀧さん(3月)、「KAT―TUN」の元メンバー田口淳之介と元女優の小嶺麗奈さん(5月)、バンクーバー五輪日本代表でプロスノーボーダーの国母和宏さんと元タレントの田代まさしさん(11月)と、決して少ない人数ではありません。


依存症からの回復の難しさ
 
 田代さんの場合、薬物では5回目、覚醒剤では4回目の逮捕になります(『東京新聞』2019年11月8日)。近年では、講演などで自らの経験を語り、NHKで薬物啓発番組などにも出演していた田代さんだけに、薬物依存症から回復することの難しさが改めて浮き彫りになりました。

 一方、沢尻さんは、「10年以上前から大麻やMDMA、LSD、コカインを使用していました。有名人が薬物で逮捕されるたび私も危ないと注意していました」などと供述しているそうです(『NHK NEWS WEB』2019年11月18日)。ここでもまた、その依存性の高さが分かります。

依存症とは

 依存症は、ある行動や対象に耽溺する行為が、自分ではどうしても止められなくなってしまい、それによって社会生活が支障をきたす病です。
 必ずしも分類できないこともありますが、多くの場合、以下の3つのカテゴリーに分けて考えられます。

(1)ドラッグやお酒など、特定の物質を体内に取り入れることによって得られる快感や安心感を求めることが止められなくなる「物質依存」
(2)恋愛やDVなど特定の関係に囚われてしまう「関係依存」
(3)仕事やギャンブル、インターネットなど、一定の行為に高揚感を感じる「行為(プロセス)依存」

孤独

 依存症は、病気としての社会的認知が低かったため、大分県別府市や中津市などが、パチンコや競輪での浪費を続けたことなどを理由に生活保護を停止・減額してきたことなどがあり、社会問題になったこともあります。

 長い間、本人の意志の弱さは倫理感の問題と誤解されてきたのです。でも、依存症は、空虚感に端を発する、れっきとした病です。その根っこには、寂しさや不安などがあり、それを手っ取り早く埋めてくれる“何か”で紛らわそうとすることから、始まります。

 多くの人がたくさんの喪失体験をした東日本大震災後、被災地ではパチンコ依存が増加したという、いくつかの興味深い指摘があります。
東日本大震災48被災地でパチンコ店満席・否認の病気
被災地のアルコール問題・嗜癖行動に関する研究


実際には孤独な人も多い?

 お金や名声に恵まれ、たくさんの人に囲まれて華やな生活を送っているかにみえる著名人・芸能人も、信頼できる人がいなかったり、弱音を吐ける場所がなかったりと、実際には孤独な人が多いのではないでしょうか。

 田代まさしさん逮捕後、『東京新聞』(2019年11月8日)に筑波大の原田隆之教授が寄せていた次のようなコメントもありました。

「(薬物依存症の怖さを訴える)講演やテレビ出演を受ける中で『もうがっかりさせられない』『絶対に失敗できない』と大きなストレスやプレッシャーを感じ、無理がたたった可能性もある」

不安や寂しさから解放してくれる

 そもそも芸能人という「みんなから注目され、賞賛される人にならん」と頑張れる裏側には、「だれからも振り返ってもらえない自分は受け入れられない」という、自尊感情の低さがあるのかもしれません。

 せっかく成功したとしても、その地位を維持することもなかなか大変です。芸能人のような人気商売では、一躍時の人となっても、忘れ去られてしまうことも珍しくありません。
 たとえ今は、そうでなくても「いつ、落ちぶれるかわからない」という恐怖といつも隣り合わせです。

 麻薬や覚醒剤は、たとえ一時にせよ、こうした不安や恐怖、寂しさから解放してくれます。

薬物依存

 人気女優で、勝ち気キャラで打っていた沢尻エリカさんも、内心は不安や孤独がいっぱいだったのかもしれません。
 そんな毎日をごまかして、「輝いている自分」に酔いしれるためには、麻薬や覚醒剤が必要だったのかもしれません。

 でも、心のどこかで「クスリを止めたい」とも思っていたのではないでしょうか。


沢尻さんのSOS

 私がそれを感じたのは、沢尻さんの逮捕後、「たびたびクラブなどでハイテンションになっていた」『FNN PRIME』2019年11月18日とか、「ドタキャン、突然のハイテンション、現場での奇行・・・沢尻エリカは大麻中毒だった」(『文春オンライン』2019年11月16日)などの記事を読んだからです。

 そうやって彼女はもう長い間、「私はこんなに大変なんだ」「だれか私を救って欲しい」と、一生懸命にSOSを出していたのではないかと思うのです。

秘密を暴露するとき

 その思いを強くしたのは、「(沢尻さんが逮捕される直前の)10日にMDMAを使用したとして麻薬取締法違反の疑いで逮捕者が出たばかりのクラブに通った」(ニュースサイト SRABEE 2019年11月19日)という記事でした。

 同記事では、歯に衣着せぬ物言いで人気のお笑い芸人・カズレーザーさんの「我々の感覚ではないというか。なんか事件があった場所って近づかないじゃないですか。そんなに(薬物を)やりたくてしょうがないもんですかね」というコメントも載っていました。しかし、私はまったく違う印象を持ちました。

秘密をばらしたかった?

 彼女は、「この秘密をばらしたかった」のではないでしょうか。自分では止められないクスリをだれかに止めて欲しかったし、「この辛い毎日を終わりにしたい」と心から望んでいたのではないかと思えてならないのです。

 逮捕後、沢尻さんが警察の言い分を認めていることや、素直に自供していることなどからも、その印象を強くしました。

辛い

 日々のカウンセリングのなかでも

「どうしてこのタイミングで、こんなことをするのか?」
「なぜそんなうかつにみすみすばれるような言動をとるのか?」

 と思うことをする方にお目にかかります。
 その内容は、自傷行為、窃盗、浮気、借金などさまざまです。


メッセージを含んだ行為

 たとえば浮気の証拠品を“うっかり”食卓の上に置いてしまったり、親が必ず空けるだろう場所に“ばれないと思って”万引きした食料品をため込んだり、恋人が尋ねて来る直前に“思い詰めて”首を吊ってみたり・・・というような、常識的に考えればあり得ないようなことをしてしまうのです。

 こうした行為が、いろいろなメッセージを含んでいることが少なくありません。それは寂しさの訴えであったり、不安のつぶやきであったり、「もっと自分に関心を持って欲しい」という願いであったりします。

 もし、そのメッセージを素直に言葉に出していたら。自分の弱さを見せることができるような相手がいれば、窮地に追い込まれることも、自分を痛めつける必要も、なかったことでしょう。

IR実施法が成立した今

 その後も、沢尻さんの入院費が1000万円だの、VIP入院だのというゴシップが飛んでいいます。
 それが本当なのか嘘なのか、そんなことはどうでもいい話です。

 カジノを含む統合型リゾート(IR)実施法が成立した今、私たちの社会はもう少し、依存症という病について考えてみる時ではないでしょうか。
 
 すでに日本は世界有数のギャンブル依存国という指摘もあります(『現代ビジネス』(講談社)2018年12月16日)。

 少なくとも、追い込まれた人をさらに追い込むような社会の在り方は、変わらなければなりません。たとえどんな内容であれ、必死の思いで発したメッセージをきちんと受け止められる社会になることを願っています。

CAFIC

 前の相談室の精算、そして新しい相談室の立ち上げ準備に忙殺され、長らくオフィシャルサイトの更新ができませんでした。

 まだまだ片付かないことがいっぱいですが、どうにか池袋で相談を開始いたしました。新相談室の名前はCAFIC(ケフィック)。Child Adult Family Ikebukuro Counselingの頭文字を取りました。
 奇しくも、16年連れそった愛犬である、ゴールデン・レトリーバーのケフィを思わせるネーミングになりました。


人生のトータルサポートを目指して

 CAFICでは、恩師である精神科医・斎藤学先生の教えを胸に、子どもと家族の問題を扱わせていただくのはもちろんのこと。妊娠・出産や子育て、発達の問題、認知症や介護、ペットロス、など、専門領域の友人・知人の力を借りて、あらゆる年代、人生の危機に対応できるようなトータル・サポートを目指します。
 
 ゆくゆくはライフプランや経済的な問題にも踏み込んだ生活相談なども行いたいと考えています。
 
「個人の心の問題」では解決できない

 15年を超える臨床経験のなかで、クライアントさんが抱えている多くの困難、生きづらさは「個人の心の問題」というとらえ方だけでは解決できないことをひしひしと感じました。

 人は社会的な生き物です。たとえ引きこもっていたとしても、「引きこもる」という方法で社会との関係性を築いています。環境(周囲との関係性)が変わったとたん、画期的に事態(心の問題も)解決してしまう、ということを何度も目の当たりにしました。

CAFICはけっしてあなたをひとりにしない

 そして、従来の心理療法、カウンセリングだけでは、なかなかそうした解決へとたどり着けなかったり、時間がかかってしまうことも、感じてきました。
 そもそも人は追い込まれると「自分はひとりぼっちだ」「自分は何もできない」と思ってしまい、助けを求めることさえ諦めてしまいがちです。

 CAFICでは、そんな人たちにも、本当は力があること、つながっていけること、ほかの人の力を借りながら幸せに生きていく道を探せることをお伝えしていきたいと思います。

 CAFICは、絶対にあなたをひとりにしません。

最近、トー横に行く機会がありました。
新宿歌舞伎町にあるTOHOシネマズ横の通路、そこに集まる若者たちのコミュニティというかエリアである、あのトー横です。

ここのところ一斉摘発やら、ホストクラブの取り締まり強化があり、通常よりかなり閑散としていると聞きましたが、私が行った日もちょっとしたバザー並みには人が集まっていました。
ぱっと見は高校生くらいな男女が数人ずつのかたまりで、あちこちに座り込んでは、飲んだり、食べたり、しゃべったり。そして、すぐ側にある都立大久保病院周辺にはいわゆる「たちんぼ」と思われる女子の姿も・・・。


あまりにもフツーな女の子

驚いたのは、「たちんぼ」の子たちのあまりにもフツーな姿です。

水商売ぽい華やかさとか、きらびやかさとか、ケバさ、といったものはまったくありません。スマホをいじりながら立つ姿は、本当に「どこにでもいる高校生や大学生」。まるで待ち合わせの友達を待っているようです。

今朝、電車で隣に座った女の子と何一つ変わったところはありません。どこかで出会っても、一斉逮捕の危険性と隣り合わせの生活をしているとは夢にも思わないでしょう。

そうした若者たちの周辺を警察官やガードマン風のいかつい制服男性が巡回していました。

売り手と買い手が逆転

実は今年の初め頃、トー横ではありませんが、歌舞伎町界隈に行く機会がありました。 かれこれたぶん10数年ぶり。あまりの変わりようにびっくりしました。

私が知っている歌舞伎町は、「女性がサービスし、男性が買いに行く」場所でした。ところがそれが完全に逆転していました。ビルの壁面や看板には、着飾ったイケメンたちが満面の笑みを浮かべています。

推し活や悪徳ホスト(クラブ)のニュースを聞いてはいましたが、「なるほど、こういうことか」とリアルに実感しました。

生活に困窮する元ホストたち

ところで、先日、トー横に行ったのは、そこから遠くない福祉施設を訪れた帰りでした。さまざまな事情で生活が立ち行かなくなった人々が入所している、その福祉施設の職員さんから、こんな話を聞いたことがきっかけでした。

「場所柄なのか、若い男の子の入所者が増えています。地方から有名ホストに憧れ『一旗揚げてやろう!」と勇んで上京したものの、鳴かず飛ばず。 店を追い出され、帰ることもできなくなった子たちです。 今の歌舞伎町はホストクラブだらけ。トー横にはホストを推す資金が必要な子たちが集まってきます」

話を聞いて思い出したのは、私がまだ記者をしてた20年以上前に取材したホームレスのおじさんたちです。

でっかく稼ぐつもりで家を後にし、気が付いたらすっからかん。「来年こそは」と思っているうちに年月が過ぎ、年を取り、いつしか家に戻ることもできなくなってしまったおじさんたち。
墨田川沿いにテントを張り、 山谷の段ボールハウスで寝転んでいたおじさんたちのことが、ありありと思い出されました。

声をかけると、怯えてテントの隅に身を寄せたおじさん。過去を洗い流すようにアルコールを流し込んでいたおじさん。配られたおにぎりをまるで宝物のようにそっと手に乗せていたおじさん・・・。

そんなおじさんたちから、たくさんの身の上話を聞きました。


長い長い橋

なかでも切なかったのは、川の対岸を指し、「俺の家はね、川のすぐ向こうにあるんだ」と語ったおじさんの話でした。
おじさんは、当時おそらく50〜60代。 川向うに、今も住んでいるだろう妻や成人したはずの子ども。代替わりしているだろう、実家。それらについて懐かしさと寂しさ、そしてまぶしさが入り混じったような表情で語っていました。

200メートルに満たない距離に、家があり、会いたい家族がいる。それなのに帰ることができない、渡ることのできない、長い長い橋。

その胸の内を思うと、心が押しつぶされそうでした。

昭和は遠くなったのに

そんなおじさんたちが「一旗揚げよう!」と意気込んだ昭和もすでに遠くなりました。それなのに今も、夢を見て、騙されて、傷ついて、すべてを失う・・・そんな人たちが東京には溢れているのです。

しかも、「まだまだこれから」の若者たちが、あのおじさんたちと同じ境遇に置かれている。そう考えると、やるせない思いでいっぱいになりました。

「自分が必要とされている」 と思えるから

それにしてもなぜ、前途ある若者が、そんな破壊的な生き方を選ぶのでしょうか。現実から乖離した虚像の世界に憧れ、破滅的な人生にはまってしまうのでしょうか。

金と嘘にまみれた世界に心を奪われるのでしょうか。

そして、そんな虚像の世界に生きるホストを「推し」たいと思うのはなぜなのでしょう。

ある人が「推し活」の魅力をこんなふうに話していました。

「『推し』を応援していると、自分が必要とされている感じがする。 私が応援してるから、『推し』の子が輝ける・ 私がいるから『推し』の子がやっていけている、と思える」

裏を返せば、日常のなかでは「自分が必要とされている」と思えていないということです。日々、生き生きとした感覚を持てず、生きている意味を感じられないということです。

文春オンライン』 (23年7月29日) に登場した 「立ちんぼで 「1日15万円稼ぐ」ことが日課になった19歳」 は、立ちんぼをして稼いだ金をホストに使う理由をこう表現していました。

「暇なんで」

「推し活」は立派な依存症

ここまで書いて、改めて実感しました。

「推し活」とは依存症なのだ、と。

哺乳類である人間は、依存対象無しに精神状態を保つことはできません。
乳幼児は世話をしてくれる養育者に おとなになれば、パートナーや没頭できる何かを必要とします。
何かに依存するということは、私たちを孤独や寂しさから救い、人生に幸福感をもたらしてくれます。

「唯一無二」「ほかに代えられない」対象があるからこそ、私たちは孤独なこの人生を生きていけるのです。

でももし、その依存対象が幸福ではなく、自滅へとつながっているとしたら・・・それは「依存症」と呼ばれます。

「自分が必要とされる必要」に駆られるのも、共依存の典型例です。

孤独で愛に飢えた若者たち

依存症は寂しさと空虚感に端を発する病です。

ぽっかりと空いた穴を埋めてくれる“何か”を求めます。実は何にも持っていない自分を繕うため自分を“飾り”、生き生きとした感情を与えてくれる「一瞬の高揚」を得ようと、危険な行為に走ります。

ホストも推し活も、まさにその構図に当てはまります。つまり、今の若者たちがそれだけ孤独で、愛に飢えているということです。

恐ろしいのは、そんな「推し活」依存症が、今や市民権を得ているということです。

もちろん、依存症はだれでもなりえる病です。 が、少なくとも「依存症にはならないほうがよい」と思われてきたし、依存症に対しての一定の警戒感がありました。

物質への依存であるアルコールや薬などは、直接的な身体への影響があるため、比較的、気付きやすい依存症でした。また、行為への依存でも、ギャンブルなどにはまるのはやはり“一部の人”というイメージがあったでしょう。


国民総依存症

ところが今やだれもが、当たり前のように「推し活中」と語ります。「私はアルコールにはまっています」というのははばかられても、アイドルやホスト、ゲームのキャラクターにはまる推し活は気楽な趣味という雰囲気があります。

パナソニックが20~50代の女性を対象に行った調査では、なんと「5人に一人が推し活中」と回答したとか (MarkeZine)。

企業を含め、金儲けを目録輩は、こうした「推し活」にはまる人々に、どうにかしてお金を使わせようと、あの手、この手で迫ってきます。

要因は社会にある

「推し活」を依存症と考えれば、一斉摘発や取り締まりの強化が、何の役にも立たないことが分かるでしょう。

「止めろ」と言われて止められるなら、それは依存症ではないのです。

そんなことをするよりも、なぜ、今の若者がそんな破壊的な人生を選ぶのか。彼ら・彼女らが歌舞伎町やトー横に集まってくるのかをもう一度考えてみるべきではないでしょうか。

ユニセフの「子どもたちに影響する世界」では、先進国38カ国中、精神的幸福度が37位の日本。10代の死因1位が自殺の日本。

これらの数字を見ても、子どもたちを依存症へと追い込んでいる要因が日本社会にあることは明らかです。

ここのところ「依存症」に関するニュースが目につきます。

やはり、だれもが知る大谷翔平選手の元通訳・水原一平さんによるスポーツ賭博事件の影響が大きいのでしょう。水原さんが大谷選手の銀行口座から無断で1600万ドル(約24億円)以上を送金していたことが発覚し、解雇されたニュースはかなりの衝撃でした。

スーパースターである大谷選手とタッグを組み、公私にわたって支えてきた水原さん。事件が発覚する前は、マスコミをはじめ、世論は水原さんにも非常に好意的でした。
大谷選手とまるで“セット”であるかのように、その仲の良さに感心し、大谷選手同様、水原さんの人柄の良さやを並べ立て、ことあるごとに賞賛していました。


評判は暴落

ところが、解雇以来、その評判は暴落。

「ずっと裏切っていたなんてひどい」
「大谷選手がかわいそう」

など、大谷選手への同情の声はもとより、水原さんの学歴詐称疑惑をはじめ、あること無いことを面白おかしくかき立てるメディアも現れました。

それまでさんざん持ち上げておきながら、何か一つでも失敗すると徹底的に攻撃する。――今回に始まったことではありませんが、その手の平の返しようは、「見事」と言うしかありません。

『中日スポーツ』の記事

こうしたメディアの問題については、もやもやと思うところがあります。が、今回の事件で私が最も気になったのは、「長年、信頼関係を紡いできた同志を裏切り、裏切られたふたりの心中」でした。

それは、韓国で行われていたMLB公式戦の開幕第2戦の夜(3月21日)の出来事として、こんな記事を目にしたからです。

「ドジャースのクラブハウスで『自分はギャンブル依存症だ。多額の借金を大谷翔平に肩代わりしてもらった』と説明。だがその深夜にホテルで大谷から問い詰められ、スーパースターの銀行口座から巨額の金を盗んだと白状したという。
13日の米紙ニューヨーク・タイムズによれば、その場面で同容疑者は『クラブハウスで話したように、翔平が僕の借金を肩代わりしたことにしてくれないか?』と頼み込んだという。だが、大谷はこれを拒否し、即バレロ代理人に連絡を取ったという」(『中日スポーツ』(24年4月14日)