依存症という病(4)

辛い

 日々のカウンセリングのなかでも

「どうしてこのタイミングで、こんなことをするのか?」
「なぜそんなうかつにみすみすばれるような言動をとるのか?」

 と思うことをする方にお目にかかります。
 その内容は、自傷行為、窃盗、浮気、借金などさまざまです。


メッセージを含んだ行為

 たとえば浮気の証拠品を“うっかり”食卓の上に置いてしまったり、親が必ず空けるだろう場所に“ばれないと思って”万引きした食料品をため込んだり、恋人が尋ねて来る直前に“思い詰めて”首を吊ってみたり・・・というような、常識的に考えればあり得ないようなことをしてしまうのです。

 こうした行為が、いろいろなメッセージを含んでいることが少なくありません。それは寂しさの訴えであったり、不安のつぶやきであったり、「もっと自分に関心を持って欲しい」という願いであったりします。

 もし、そのメッセージを素直に言葉に出していたら。自分の弱さを見せることができるような相手がいれば、窮地に追い込まれることも、自分を痛めつける必要も、なかったことでしょう。

IR実施法が成立した今

 その後も、沢尻さんの入院費が1000万円だの、VIP入院だのというゴシップが飛んでいいます。
 それが本当なのか嘘なのか、そんなことはどうでもいい話です。

 カジノを含む統合型リゾート(IR)実施法が成立した今、私たちの社会はもう少し、依存症という病について考えてみる時ではないでしょうか。
 
 すでに日本は世界有数のギャンブル依存国という指摘もあります(『現代ビジネス』(講談社)2018年12月16日)。

 少なくとも、追い込まれた人をさらに追い込むような社会の在り方は、変わらなければなりません。たとえどんな内容であれ、必死の思いで発したメッセージをきちんと受け止められる社会になることを願っています。

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Posted by 木附千晶