やりきれない事件ーー安倍晋三元首相銃撃事件に思う(1)
先日の参議院選挙の応援演説中に銃撃され亡くなった安倍晋三元総理大臣の葬儀を「国葬」として執り行うそうです。
異例の早さで、岸田文雄首相が決定しました。
おごった政権
「安倍一強」のなかで、財務省による公文書の改ざん、防衛省による日報の隠蔽、森友・加計の両学園疑惑や桜を見る会の尻切れトンボの幕引き、集団的自衛権の一部行使を容認する「安全保障関連法」の強行採決等々、挙げればキリがありません。
今回、改めて調べてみたら、あまりにも安倍政権時代の疑惑や不正が多すぎて、すっかり忘れていたこともありました。
ちょっと振り返っただけでも、まさに思うままに国政を牛耳り、したい放題、傍若無人なおごった政権だった痕跡がわんさか出てきました。
アベノミクスが残したもの
自民党がいまだ「成功だった」と言ってはばからないアベノミクスも、とんでもない代物でした。
確かに企業の「経常利益」は48兆4000億円(2012年度)から過去最高の83兆9000億円(2018年度)に拡大するなど(『BUSINESS INSIDER』2020年8月24日)、企業利益は拡大し、経済成長は遂げたかもしれません。
しかし、同記事によると所得の分布状況では平均所得金額以下の世帯は60.8%(2012年)から61.1%(2018年)になり、貧富の差は縮まらず、わずかかもしれませんが開いています。
耳を疑う発言
そんな世の中をつくった安倍元首相を「国葬」すると言うのです。
岸田首相は、最長期間首相を務めたことや、重要な実績をあげたこと、国内外から哀悼の意が寄せられていることなどを理由にしました。
さらには、「安倍元首相を追悼するとともに、わが国は暴力に屈せず、民主主義を断固として守り抜く」とその意義を語りました(『東京新聞』22年7月14日)。
まさに耳を疑う発言です。