島国根性(3)
それを象徴するのが、入管行政・入管法の問題です。21年3月には名古屋出入国在留管理局の収容施設でスリランカ人女性が衰弱死しました。
入管庁はこの事件について21年8月に調査報告書を出しました。女性は、1月中旬から急速に健康状態が悪化。食事が満足にできない状態になり、2月15日の検査は「飢餓状態」を示し、会話をまともに交わすこともできなくなっていたといいます。
厳格な難民認定の結果
「死の5日前には、カフェオレをうまく飲み込めず、鼻から噴出させてしまい、見ていた看守は『鼻から牛乳や』とからかった記述がある。これは『チャラリ~』で始まるお笑いシンガーソングライターのヒット作のワンフレーズであることは言うまでもない。死の前日には、かすかに発した言葉尻をとらえて、接着剤のアロンアルファが食べたいのかなどと聞き返している」
しかも看守らは、この対応を「フレンドリーに接したいなどの思いからこのような軽口を叩いた」と弁解したそうです。
日本の難民認定の規則は厳格すぎると言われています。認定されるのは例年、申請者の1%未満で、欧米などの30~40%と大きく差があります。
立派な建前の裏で
たとえば『Globe.asahi』(22年2月3日)には、肋骨を3本折られたという岡山のベトナム人実習生が暴行される様子を映した動画も載っています。
また、22年1月には熊本県の自宅で孤立出産し、死産した双子の遺体を放置したとしてベトナム人の実習生が死体遺棄罪で有罪(福岡高裁)になりました。同様の事件が2019年1月には神奈川で、2020年5月には岡山県で、2020年11月には広島でも起こりました。
「日本で技術を学んで母国で役立ててもらう」という立派な建前の裏で、劣悪な低賃金労働、セクハラ、パワハラなどの温床となっているのが現実です。