コロナ不安と報道(4)
アベノミクスの失敗、コロナの影響で雇用を喪失する人が急増しました。2020年に旧廃業や解散に追い込まれる企業は全国で5万件を超える可能性があり、10数万人の雇用が失われるおそれがあるそうです(『東京新聞』2020年7月26日)。
そんな社会で人々は、常にスケープゴートを必要とします。SNSが発達した昨今、対象さえ見つかれば鬱憤をぶつける攻撃は容易です。自分は安全な場所にいて、匿名のまま、対象を死に追い込むまで攻撃しても、だれからも責められません。
フジテレビ『テラスハウス』の元出演者で、SNS上での誹謗中傷を苦に自殺した木村花さんを思い出していただければすぐにわかるでしょう。
いつしか同調を強いる人に
個人的な問題なら、自分のやっていることを振り返ったり、思いとどまって現実的な対応を考えたりもしやすいですが、コロナのように社会的な問題となると、そうもいきません。
他人の目は気になるし、「みんながこうしている」と言われれば、異を唱えることはなかなか勇気がいります。結果、疑問や本音は気づかないよう自ら抑圧し、同調圧力に屈して、いつしか自分も同調を強いる人になっていきます。
「自分は我慢しているのに、おまえはなぜ我慢しないのだ」
「ストレスをためながら自粛しているのに、どうしておまえは好き勝手に振る舞っているのだ」
「暑くても、熱中症になりそうでもマスクをしているのに、おまえはなぜ外すのだ」
不安は解消されない
こうするこことで、「自分の正しさ」は確固たるものになり、「我慢」も報われる気がするからです。
しかし、それで安心できるかというと、そうはいきません。そもそも対象は「実態の無い不安」なわけですから、どれだけやっても、何をしても、解消はされないのです。
報道に躍らされず
そうして「対処のしようのある恐怖」と「漫然と感じている不安」を分け、前者については、きちんと向き合っていくことです。
不安を煽るだけの報道に躍らされていては、いつまでたっても不安は募るばかりです。