国の責任を放棄した緊急事態宣言(1)
新年早々、2度目となる緊急事態宣言が2月7日までの期間、首都圏の1都3県に発令されました。しかしその後も、収束にめどは立たず、緊急事態宣言の地域は11都府県に拡大されました。今後も追加される可能性があるという話もあります。
確かに、緊急事態宣言(以下、宣言)後は、街を歩く人が多少減ったような感はあります。しかし一方で、「人の動きや人手はあまり押さえられていない」という報道もよく耳にします。
「長引くコロナ対策に慣れてしまった」
「若い人の間では『かかっても重症化しにくいだろう』という楽観的な見方が広がっている」
「仕事を休めない」
・・・そんな理由をよく聞きます。
2つの緊急事態宣言の違い
「1度目に比べ、2度目の宣言の方が縛りが緩やか」という指摘もあります。ふたつの宣言を見比べてみると、主に次のような違いがあるようです。
①人との接触:1度めは「最低7割、極力8割」の削減が目標。2度めは夜8時以降外出自粛。
②休業要請:1度目は飲食店や映画館、百貨店等。2度目は飲食店に対し、夜8時案での時短営業。
③出勤:1度目はテレワークの徹底。2度目は自治体によって異なるテレワークの数値目標化。たとえば東京都は「週3日」社員6割以上。
④イベント:1度目は中止や延期。2度目は人数の上限を5000人かつ収容率を50%以下とし、開催時間も夜8時まで。
⑤学校:1度目は一斉休校。2度目は学校・保育所とも休校・休止を求めない。
このように見比べると確かに今回の宣言は緩やかな印象を受けます。
コロナ対策法の行方
実際にはどうなのでしょう。
18日に政府が示した新型コロナ特別措置法や感染症法の改正案は、国や地方自治体は事業者に対する支援を「講ずるものとする」と明記し、義務規定に修正しました。
当初は努力規定の予定でしたが、「経済的な下支えの責任が無い」との批判を受けて方針転換しました。
それでも、支援規模や対象は相変わらず行政側の裁量任せ。これで十分な支援につながるかは疑問です。
一方、国民に対しては入院を拒否したり、入院先から逃げ出したりした場合や、営業時間短縮や休業命令を拒否した事情者への罰則を導入すると言います。