ホスピタリティとガイド(2)
確かにイグアスの滝がある国立公園内は、トレッキング用の遊歩道が整備されています。一部の区間ではトロッコ列車も走っています。
とはいえ、この国立公園の広さは東京都とほぼ同じくらい。ブラジル側が185,000ヘクタール、アルゼンチン側が65,000ヘクタールもありますから、足腰に自信の無い人、体力が心配な人、障がいがある人にとって、けっこう移動は大変です。
ところが、車いすユーザーの方たちが、いわゆる健常者とまったく同じように観光しているのです。公園内では、公園側が貸し出ししてくれるのか、他では見たことも無い頑丈なアウトドア用? 車いすも、たびたび見かけました。
マチュピチュでは杖や松葉杖の人も
マチュピチュ遺跡内には、さすがに車いすでは入れませんが(安全面でも)、杖や松葉杖の人はたくさんいました。
そうした人たちが、富士登山さながらの人混みのなか、だれかに手を引かれ、ときには見ず知らずの私の肩につかまったりしながら、自分のペースで杖をつき、観光しているのです。それは日本では見かけたことのない光景でした。
周囲の人たちも「当たり前のこと」と、受け入れている様子でした。けれども少しでも困っている様子があると、どこからともなくスタッフや力自慢の観光客などが現れ、手助けをしていました。
とにかく“自然”
そこにはオリンピックに向け日本が取り組んでいる「介護タクシー」だの「ユニバーサル研修」などにつながる、“特別”な感じはまったくありません。とにかくひたすら“自然”なのです。
そのナチュラルな感じをうまく伝えられないので、実際に車いすでイグアス国立公園を旅行した方のブログ(もう一つの日本へ(4))を引用させていただきます。
「車イスでツアーに参加できるのか、わからなかったが、とりあえずチケットを売ってくれた。売ってくれたからには行けるだろうと楽観。それに車イス用トイレもあったし。
(中略)ジープに乗って、まずはジャングルの中を走る。運転手さんが、私が車イスなので乗りやすい、最前列のジープの助手席に座れと配慮。最高っす!
(中略)道がさらに悪くなるので、小回りの利くパワーのあるジープに乗り換え。船乗り場へ。その先は、長い階段だったが、何も頼むでもなく、係員が側にきて、私を担いでいった。
(中略)船に乗るときも、『君が好きなところに座りなさい』とスタッフ。濡れるのが怖いので、最前列には座らなかったが、移動のしやすい座席をゲット。船は、どんぶらどんぶら、滝つぼへ向う。流れが速いので、船はシェイクする。迫力満点。
(中略)帰りの階段は、ツアーで一緒だったブラジル人達が担いでくれました」