ホスピタリティとガイド(3)
これこそがまさに「ホスピタリティだ!」と思いました。
ちなみに、形や行動などで示す「マナー」は相手に不快感を与えないための最低限のルール。そこに「心」が加わると、「ホスピタリティ」になるのだそうです(『ホスピタリティの極意』)。
今回の旅行では、私もそんな南米の人々のホスピタリティにうんと助けられました。
私もホスピタリティに助けられた
・・・と言うのも、一緒に旅行した同行人が何重もの体調不良を抱えていたからです。出発前からの運動不足に睡眠不足、そこに長時間のフライトやタイトな旅行スケジュール、そして下痢や風邪などが重なったのです。
そのため同行人は、遺跡内にはトイレが無いマチュピチュでは、出入り口付近をうろうろするしかなく、イグアスでは長時間歩く場所は避けて休み、他の人たちと別コースを取ったりしなければなりませんでした。
旅の最初の頃は、観光場所に着くたびに「ホテルに帰って休んでいたら?」と言われるのではないかとひやひやしていましたが、厄介者扱いされることもなく、嫌な思いをすることも、肩身の狭い思いをすることもなく、旅行行程のすべてを満喫することができました。
現地のスタッフやガイドさんたち、時には観光客の人たちが、本当に“自然"に手助けしてくれたからです。
マチュピチュ遺跡では
マチュピチュ遺跡ツアーでは、私たちふたりのほかに日本人大学生(と思われる若者)計三名が、ひとりのガイドさんに案内してもらう予定でした。しかし、同行人の様子を見た迎えの現地スタッフが「三人一緒は無理」と判断したのでしょう。
私たちが知らないうちにもうひとりガイドさんを呼び、大学生と私たちが別々に回れるよう手配してくれていました。
私たちの担当となったガイドさんは、会うなりトイレに駆け込んだ同行人を見て、「遺跡内が見渡せて、すぐにトイレに行ける涼しい場所がある」と言い、「そこで待っていることもできるが、どうする?」と、選択肢を与えてくれました。
ガイドさんの細かな配慮
結局、同行人はほとんどの時間をその「涼しい場所」で過ごし、私ひとりがガイドさんの案内で遺跡内を歩きました。その間、ガイドさんはたびたび無線や携帯電話で「涼しい場所」側の遺跡スタッフと連絡を取り、同行人の具合を私に報告してくれました。
最後は、通常は通れないルートを特別に開けて同行人のところへとショートカットして向かい、別れ際には「インカの人々がお腹を壊したときに飲むお茶」を紹介し、それを飲める店まで教えてくれました。