「みんなちがって、みんないい」(2)
そんなふうに平等について考えていて、ふと、子どもの権利条約の講演でご一緒した、ある保育園の園長先生にうかがった話を思いだしました。
スウェーデンだったか、ノルウェーだったか、はたまたデンマークかフィンランドの話だったのか、正確には覚えていないのですが、その園長先生がかつて見学に行ったことがあるという、とある北欧の国の保育園でのエピソードです。
園長先生が見学した日、保育園では「ひとつのホール・ケーキをみんなで平等に分けるにはどうしたらいいか」と話していたと言い、園長先生は私を含めて会場全体のおとなに、こう尋ねてきました。
「いったいどんなふうに分けるのが平等になると思いますか?」
この問いに、みなさんならどんなふうに答えるでしょうか。
違いを大事にする北欧諸国の保育
偉そうなことをブログで書きながらも、日本社会の価値観に染まっている私の頭に最初に浮かんだのは「全員に同じ大きさのカットしたケーキがいきわたるよう、等分する」ということでした。
実際、私自身も子どもの頃から、ずーっとそんなふうにされてきた記憶があります。
でも、北欧諸国といえば「違いを大事にする保育が行われている」国です。日本では当たり前になっている集団保育などは行わず、「ひとりひとりの子どものニーズを大事にして、その子がしたいと思えることを応援するのが保育者の役割」という話を北欧での保育を体験した人たちから何度も聞いたことがあります。
北欧の保育に関する本やDVDでも、保育士さんが「絵本を読むよ」と声をかけると、読み聞かせして欲しいと思う子どもがその周りに集まり、「お腹空いた人~」と声をかけるとキッチンの周囲にご飯を食べたい子が寄っていくというエピソードなどがよく登場します。
一方で、それらに興味が無い子どもや、他に何かやりたいことがある子どもは、思い思いの場所で、自分のしたいように過ごすのです。
その答えは・・・
そんな北欧の保育園での話ですから、まさか「全員に同じ大きさのカットしたケーキがいきわたるよう切り分ける」なんてことはあり得ません。
私を含めて会場がしんと考え込んでいると、園長先生はまるで手品の種明かしでもするかのような雰囲気で、ほほえみながら答えを教えてくれました。