猫ブームとはなんぞや(8/8)

2019年5月29日

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それからもう一つ考えられるのは、「犬に比べると猫の方が手がかからないから」ということではないでしょうか。

もちろん猫も、遊んであげたり、ゴハンをあげたり、体を清潔に保ってあげたりと世話が必要です。

しかしどちらとも一緒に暮らしてきた私の経験上、犬に比べるとずーっと楽です。犬は健康を維持してあげるため散歩に行かなければならないし、大型犬の場合、トイレを外でしたがる傾向にあるので、決まった時間に外に連れ出してあげなければなりません。

猫のように自分でグルーミングしませんから、シャンプーは欠かせないし、ブラッシングもしてあげなければなりません。

何より、猫よりも感情表現がストレートなので「あれして!」「これして!」という要求もストレートです。それに応えてあげるのは、けっこうなエネルギーがかかります。

リアルよりバーチャルへ

もともと人間は「何かを与えられるときより、与えるときにこそ充実感を得られる」ようにできています。ひらたく言えば、手がかかる存在がいるということは、それだけ人生の豊かさを感じられるということです。

しかし、昨今、犬や猫のかたちをした癒しロボット的なものが人気を博し、リアルに命を育てるのではなくゲームなど、バーチャルな世界で何かを育てるようなことがはやっています。
以前、犬のロボットを愛用(愛玩?)している方が、こんなことを言っていました。

「本物のに犬は、散歩に行く手間がかかるし、あちこち汚したり、匂いが気になったりする。何より、『人間が遊びたい』と思ってスイッチをいれなければ、動かないから、時間があるときだけ、かわいがればいいから面倒がない」

社会の在り方が反映されている?

それを聞いて、私はびっくりしました。人間(おとな)の都合に合わせてはくれないから、手間がいっぱいかかるからこそ、ふたつとない絆が生まれます。面倒をいっぱいかけてくれるからこそ、いつでも関心を向ける必要ができ、動物や子どもは“かけがえのない存在”となって、私たちの孤独を解消してくれるのです。

猫ブームの背景には、このような“人間らしい”関係性を求めるのを止め、労力がかかることは避け、合理性を追求する社会の在り方が反映されているのかもしれません。

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