さとり世代(10/10)

2019年5月29日

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こうした心理の世界では常識となっている研究報告と、「さとり世代」の若者たちや、最近の子どもたちの様子を重ね合わせてたみたとき、若者・子どもたちの諦観とも言えるさとりの状態は、「関係性を求めても、それを得ることができなかった経験の産物」であるように思えてなりません。

こうした心理の世界では常識となっている研究報告と、「さとり世代」の若者たちや、最近の子どもたちの様子を重ね合わせてたみたとき、若者・子どもたちの諦観とも言えるさとりの状態は、「関係性を求めても、それを得ることができなかった経験の産物」であるように思えてなりません。

チャレンジするには安全基地が必要

子どもが怖い思いをしたり、不安を感じたり、病気になったりしたとき、恐怖や不安を取り除き、手当てし、安心感をもたらしてくれる母的存在、継続的に子どもを見守ってくれている存在・・・健全な愛着対象は、子どもが心身ともに健やかに成長・発達するために欠かせません。

子どもは、こうした養育者によって、外界を「安全なもの」と認識し、「自分は大切な存在である」という自己肯定感を手に入れます。

そして、「ここに戻ればいつでも慰めてもらえ、エネルギーを補給できる」と確信できる安全基地(養育者との関係性)があるからこそ、チャレンジしたり、新しい世界にこぎ出す勇気や学ぶ意欲がわいてくるのです。

そんなチャレンジ精神や希望、自信に満ちあふれた姿は、「さとり世代(2)」で『知恵蔵2013』から引用した、昨今の若者像・・・「無駄な努力や衝突を避け、過度に期待したり夢を持ったりせず、浪費をしないで合理的」とは対局にあるものです。

さとりの境地に追い込んだのはおとな

私たちおとなは、「さとり世代」などというレッテルを貼って、思考を止める前に、なぜ彼・彼女らがそんなにも諦観しきった人生を選びとるしかなかったのかを考えてみるべきではないでしょうか。

「最近の若者は野心がない」とか「覇気のない子どもが増えた」などと嘆く前に、彼・彼女らとのかかわりを見直してみるべきではないでしょうか。

子どもはおとなによって育てられます。

生まれたての赤ん坊の、あの圧倒されるような生のエネルギーを思い出してください。子どもの持つエネルギーを奪い、あきらめとも呼べるさとりの境地に追い込んだのは、子ども自身ではありません。

私たちおとななのです。

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Posted by 木附千晶