いじめ防止対策推進法は子どもを救う?(7/9)
2019年5月29日
ではなぜ、こんなにも子どもたちがうまく成長発達できなくなってしまったのでしょうか。
相手を値踏みし合ったり、ランク付けし合ったり、貶め合ったり・・・そんな、人間として恥ずかしいことを日常的に平気で行うことがめずらしくなくなってしまったのでしょうか。
理由は簡単です。
競争によって成果を奪い合うことを是とする私たちの社会が、常に相手を値踏みし、人を序列・ランク付けし、さまざまな意味で、少しでも自分より下の人間を見つけては安心感を得る社会になってしまっているからです。
競争を激化させた結果
そんな社会に子どもたちを適応させるため、グローバル経済の中で勝ち残れる多国籍企業のリーダーを育成するため、社会にならって教育システムもどんどん競争的にしてきました。
第一次安倍晋三政権下では、一人ひとりの子どもが生来持っている能力を最大限に伸ばす「人間教育」を目的としていた教育基本法が「改正」され、あらゆるおとなが競争による「人材育成教育」に荷担せざるを得ないよう追い込む新しい教育基本法がつくられました(2006年)。
さらに翌2007年には、新教育基本法を具体化するために教育関連の法律が「改正」され、46年ぶりに、全員参加を原則とする全国学力・学習状況調査(全国学力テスト)が復活し、否が応でも、競争の土俵に乗らざるを得ない仕組みが出来上がりました。
この全国学力テストがなぜ、どのように問題なのかということを知りたい方は、「学力テスト不正問題」の回を参考にしていただくとして、ここは先に進みます。
国連を無視した果てに
こうして、国連「子どもの権利委員会」(国連)が「競争(管理)と暴力、プライバシーの侵害にさらされ、意見表明を奪われ、その結果、発達が歪められている(Developmental Disorder)」という衝撃的な勧告を日本に突きつけた第一回目の日本政府報告書審査(1998年)以来、三回にわたって「競争主義的な教育制度を見直せ」と勧告されているのに、日本政府は無視し続けてきました。
それどころか、競争的な教育制度をさらに押し進め、国(経済界)が「よし」とする目標を教え込み、その期待に応えられる程度で序列化し、「下位に位置付くことも自己責任」の格差社会に子どもを適応させ続けてきました。(続く…)
Posted by 木附千晶
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