いじめ防止対策推進法は子どもを救う?(2/9)

2019年5月29日

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道徳の強化や、いじめっ子への「毅然とした対応」を前面に出したいじめ対策は、今までのいじめ対策となんら変わりません。

いじめ自殺事件が起きるたびに、時の政権や教育行政機関、識者などの多くは「『いじめはいけない』と徹底して教えるべきだ」と声高に叫び、「いじめっ子たちには罰を与えよ」と繰り返してきました。

今回の推進法が、こうした過去のいじめ対策と違う点を挙げるとすれば、自治体や学校などに「いじめ防止基本方針」を定めるよう求め、いじめ防止のための組織を常設するなどいじめ防止のための仕組みをつくることが決められたことでしょうか。

「いじめはいけない」と知っている

しかし、道徳教育の強化が、いじめ防止につながるわけではないことは2011年の大津いじめ事件が起きた中学校が、2009・2010年度に文部科学省指定の道徳教育実践研究事業推進校だったことからも明らかです。

あえて警察を導入したり、道徳教育を通して「いじめはいけないこと」と口を酸っぱくして言わなくても、子どもたちは「いじめはいけない」と十分に分かっています。

だからこそ、一時、話題になった学校裏サイトのような匿名性の高い、だれがだれをいじめているのかどうかもよく分からないようないじめが、ネットの普及を背景に広がったのではないでしょうか。

何より「いじめーいじめられ」関係の中に日常的に身を置いている子どもたちに一言尋ねてみれば、彼/彼女らがちゃんと「いじめはいけないことである」と理解していることはすぐに分かります。

方針や委員会で防止できる?

また、方針や対策委員会をつくれば問題は解決・防止できるのでしょうか。こちらも非常に疑問です。

いじめの話ではないですが、理念は立派な子ども・被災者支援法が内容は空っぽのまま1年も放置されていることは前回のブログでも書きました。

2006年に学校教育法等の一部を「改正」してはじまった特別支援教育は、「どんな障害があっても、どんな場所でも、それぞれのニーズに応じた適切な教育を」と謳っていますが、予算さえ満足に付いていません。そのため、「教員の負担が重くなっただけ」「対象が広がったためひとりひとりのニーズに合わせた教育ができなくなった」などの指摘もあります。(続く…

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Posted by 木附千晶