学力テスト不正問題(2/8)
全体的に見ると、足立区の上位校と下位校の間で保護者の所得格差も顕著になってきています。
生活保護家庭と同程度の所得水準の家庭に給食費や学用品の一部を援助する就学援助制度を受けている家庭の割合が、上位校と下位校ではぜんぜん違うのです。上位校の就学援助率は20%台ですが、下位校では75%を超えている学校もあります。
上位校には、教育熱心で教育のためにお金や時間を多く費やすことができる保護者の子どもが集まりやすくなっています。
一方、下位校には生活が厳しく、片親家庭で昼夜問わずパートタイムなどで働きながらようやく生計を立てている保護者の子どもも少なくありません。
こうした家庭では、子どもの教育や進学のことにまで気を配ることが難しかったりします。
こうしたなか、下位校に入っている中学校では養護学校や定時制高校を第一志望にする子どもたちも出てきました。
私学援助も削られるなかで、公立一本で勝負しなければ進学できない子どもが増えてきたからです。
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障害者手帳取得に奔走する親
保護者のなかには、
「今の社会でうちの子どもが食べていくには障害者手帳を手に入れなければ難しい」
と、障害者手帳を取るために奔走するケースもあるそうです。
もちろん、障害者手帳を取ることは正当な権利です。いろいろな事情で社会生活を営むことが難しい人が、社会的な保障を受けられるのは当たり前の話です。
でも、一昔前には「少し勉強が不得意な子」であったり「みんなと同じに振舞うことが苦手な子」であったりした子ども・・・つまり普通高校に進学できた子どもが、「障害者手帳がなければ生きていけない」と考えざるを得ないようになってきていることは、そのまま素通りしていい話なのでしょうか?
障害者手帳を取ろうとやっきになっていた保護者の子どもを担任していた教諭は、その子どもについてこう話していました。
「確かに、できる教科に偏りがあったり、こだわりが強すぎたり、生活習慣が身につかないところがある子どもでした。でも、少し前までなら十分、普通校でやっていけたと思います」(続く…)