暴力的な社会(6/7)

2019年5月29日

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「加害者がどんなふうに育ったどんな人間なのか、なぜ犯行に及んだのか」

そういった被害者の方々が当然抱く疑問を明らかにすること。加害者の生育歴を丹念に調べ、人格形成との関係を検討すること。どのような環境が人を犯罪へと向かわせるかを考えること。・・・それは、被害者の方々を救うだけではありません。

安全な社会をつくっていくうえでも、とても重要です。

加害者に語り尽くしてもらうことが大切

加害者を死刑にしてしまえば、私たちの社会は「なぜそんな反抗に及ぶ人間が生まれたのか」「どうして犯行を止められなかったのか」という重要な情報を手に入れる機会を失います。「どのような社会になれば犯罪者が減り、多くの人が幸せに生きられるのか」を知ることもできなくなります。

加害者がどのように育って、なぜ犯行に及んだのか。何があれば犯行を思い止まることができたのか。どういう環境や関わりがあれば人間はうまく育つことができるのか。こうしたことを明らかにするには、加害者に語り尽くしてもらうことが不可欠です。

育ちと犯罪は深い関係にある

光市母子殺人事件の加害者も、子ども8名を殺害し、教諭2名と子ども13名に障害を負わせた大阪教育大学附属池田小事件(2001年)の宅間守死刑囚も、虐待され、傷つけられ続けた子ども時代を持っていました。
また、2008年に起きた土浦連続殺傷事件や秋葉原通り魔事件でも、加害者らが不適切な養育を受けていたことが知られています。

心理学的視点に立てば、生育歴、家庭環境、社会環境と犯罪が関係していることは火を見るよりも明らかです。

何が正義か?

だからもし「重罪を犯した者に対しての正義とは?」と問われたら、私はこう答えます。

「加害者に、その胸の内をすべてつまびらかにできる時間と環境を保障し、その育ちを徹底的に解明することによって二度と同じ悲劇を繰り返さない(被害者を生まない)努力をすることこそが、正義なのだ」と。(続く…

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