『希望の革命』(3/9)
フロムがかつて『希望の革命』で書いたのと同様、まさに今、日本は分かれ道に立っています。
東日本大震災という大きな悲劇に見舞われ、多くの命が奪われ、建物や地域が崩壊しました。そしてつい最近、政府が「約7万人」としてきたこの震災の避難者が、実は33万にんだったという報告も出されました(東日本大震災:避難者33万人に…仮設入居者など合算)。
こうした現実を前にして、いったいこれから「何を大切にし、何を目指して、どんな社会をつくっていくのか」が問われています。
それは、被災地やその復旧に関してだけの話ではありません。日本全体として、「いったいどんな国をつくっていくのか」を考え直さなければなりません。
震災後の“ほころび”
何しろ私たちは、震災後、国の施策や姿勢、今まで日本という国が選び取ってきた道筋などについて、いくつもの“ほころび”を目にしました。
その象徴と言えるのが原発です。
事故後、東京電力や原発メーカー、そして国が企業利益を重視するあまり、いかに安全対策を怠ってきたか、嘘をつき続けてきたがが、明らかになりました。
嘘を嘘で塗り固めるために、タウンミーティングでは“やらせ”を行い、「原発は安全でクリーン」というパンフレットや教材をおとなから子どもにまでばらまき、反対意見を封じ込めるために国からの交付金だけでは飽きたらず、原発設置県や自治体に対して、電力会社が多額の寄付をしてきていたことも分かってきました。
全国で最も原発の多い福井県には、匿名の大口寄付が2010年度までに少なくとも計502億円寄せられおり、そのうち約3割の150億円は、同県内に原発をもつ関西電力など電力事業者からということです。さらに、自治体関係者は「電力事業者以外に大口寄付はほぼない」と話しているので、その他の寄付も電力業界からの可能性が高いそうです
(原発地元に匿名寄付500億円 福井、大半は電力業界か)。(続く…)