沖縄の現実(2/3)

2019年5月29日

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とびだすぞ! ゆっくりはしってね

image_okinawa_2.jpg そんな、子どもたちがいっぱいいる島で「へぇ〜」と思う看板を見つけました。
小学校のすぐ近くにある路地に立てられ交通安全を促す手描きの看板です。おそらく子どもが描いたのではないかと思うもので、こんなふうに書いてありました。

「とびだすぞ! ゆっくりはしってね」

イケてると思いませんか?

子どもの飛び出し防止の標語としてポピュラーなのは、子ども側に注意を促す「飛び出すな! 車は急に止まれない」というものです。少なくとも私が小学生だった○十年前には、このフレーズの入ったポスターや標識があちこちにありました。

でも、ほんとうは逆のはずですよね?
法律から考えても、子どもを交通事故に遭わせないための義務はドライバー側にあるはずだし、何より「子ども」という存在ーー何かに夢中になったり、目の前しか見えなかったりーーを考えたときに、「子どもの側に交通安全の責任を押しつけるようなフレーズはどうなのか」と、いつも思っていました。

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この看板や、沖縄で出合った子どもたちの中に、島の人々が「子ども」という存在をどんなふうに考えているのかが、少し見えたような気がしました。

沖縄は「夢の島」?

でも、だからと言って、沖縄の島が「夢の島」なわけではありません。
私が行った島は今、空前とも言える土地バブルに沸いています。定年退職した団塊の世代が移り住むようになったからです。地元の人たちとのトラブルも絶えないと言います。

沖縄の習慣になじもうとせず、都会の生活習慣を持ち込んで地元の人たちを辟易させている移住者がいます。他方、「よそ者は来ないで欲しい」と頑なな態度を崩さない地元の人たちもいます。

ほんの少し、注意深く耳を澄ませていると、「美しい海に囲まれたリゾートアイランド」という、沖縄の“表の顔”からは想像できない悲鳴が聞こえてきます。

今回、それを強く感じたのは港の周辺に掲げてあった、教科書検定の意見撤回求める「沖縄県民大会」への参加を呼びかける横断幕でした。

後日、帰宅してから、9月29日の県民大会には、11万人が集まったというニュースを見ました。
今年の教科書検定で、沖縄戦で起きた住民の集団自決への日本軍の関与や強制を表す今までの記述が削除されたことに対し、県民の怒りが結集したのです

本土に暮らす私たちにが「歴史の教科書の出来事」と思ってしまいがちな戦争も、沖縄の人たちにとっては、「今につながる現実」なのだと実感させられたニュースでした。(続く…

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Posted by 木附千晶