「がんばらなくてもいい!」・・・そんな新しい社会へ(8/8)

2019年5月29日

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考えてみれば、私たちカウンセラーは、たとえ震災がなくても、原発事故がなくても、「非常事態」の中でどうにかこうにか生きている人たちと常にお会いしています。

とくに子どもにいたっては、毎日が「緊急事態」という中で、がんばって、がんばって、かろうじて生き延びているケースが少なくありません。

戦争や災害はなくても

安定や秩序からほど遠い暴力にあふれた家庭、期待に応えられないともらえない条件付きの愛、「あなたのため」という理不尽な要求で子どもを追い込む親、情緒的な関わりがまったく無い家族、少しでも早く「自立しろ」と尻を叩くおとな・・・。

戦後、日本がひた走ってきた経済性と合理性を追求する社会・・・だれもが競争に駆り立てられ、幼い頃から「負け組」と「勝ち組」に選別され、どんな不条理も「自己責任」として個人に背負わされる社会・・・で生じた、子どもが「子どもらしく、おとなに頼り、愛されながら生きられない現実」をあげればキリがありません。

たとえ戦争や災害はなくても、子どもが安心して、「自分は愛されている」と思って、ありのままの自分を受け入れてもらって、明日につながる今を確信して、ぬくぬくと暮らせる環境は、今の日本にはほとんどありません。

もう、がんばらなくてもいい!

今、日本で暮らすだれもが、先の見えない不安や孤独に脅かされて生きています。
その結果として、うつや不安障害、人格障害などと診断されるような状況にあります。

そんなたくさんの方の苦しみを日々、共有させていただいているカウンセラーだからこそ言えること。

それは「今こそ、演技をして元気を装ったり、強迫的にがんばったり、何かの役に立つ人間であろうと努力しなければ生きられない社会は変えていくべきだ!」ということです。

大惨事をもたらした経済最優先の社会、心や体がぼろぼろになるほどがんばり抜かないと生きていけない社会に“復興”するのではなく、すべての命ある存在が大切にされる社会、だれもが日常的に安心して思いや願いを出し、何もできない、ふがいない存在であっても「そんなあなたが大好きだよ!」と、受け止め合うことができる「“新しい”社会をつくっていこう!」と呼びかけることです。

未曾有の震災と原発事故を体験した今だからこそ、声を大にして言いたいと思います。

「がんばらないと生きていけない社会はもういらない!」と!!

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Posted by 木附千晶