人は、ひとりぼっちでは生きていけない(1/5)
この相談室のブログに書いていた「地域猫」の話が、本日(7月8日)に出版されました。タイトルは『迷子のミーちゃんーー地域猫と商店街再生のものがたり』(扶桑社)です。
考えてもいなかった展開に、ただただ驚くばかりです。
ブログにミーちゃんの話を書いたとき、私が願っていこと。それは、「ミーちゃんが見つかりますように」ーーたったそれだけでした。
本にも書かせていただきましたが、そんな小さな“つぶやき"に過ぎない文章が、まさか本になるとは、想像だにしていなかったのです。
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あらすじ
ミーちゃんは、再開発が進んで寂れてしまった商店街に住み着いていた三毛猫の女のコです。
もう10年以上、商店街で暮らし、まるでポストや電柱のように風景に溶け込んでいました。みんなミーちゃんがいることは「当たり前」になっていたのです。
ところがある日、ミーちゃんは行方不明になってしまいました。本が出版された今も、まだ行方は知れません。
ミーちゃんがいなくなってから、通勤通学途中で毎日ミーちゃんにゴハンをあげていた人たちや、商店街の料理屋さん、金物屋さん、美容室の人など、ミーちゃんを可愛がっていたみんなが総出でミーちゃんを探し始めます。
そして「ミーちゃん、見つかった?」を合い言葉に、商店街には立ち話をしたりお互いお店の前を掃除しあうような関係がつくられ、商店街を通り過ぎていた人々の間に、人の輪が広がっていきました。
いなくなって気付いたこと
ミーちゃんがいなくなってはじめてみんなは気付いたのです。
ミーちゃんが「ただそこにいる」ことで、たくさんの人が励まされ、癒され、助けられ、生きるエネルギーをもらっていたことを。
ミーちゃんを通して、みんなが損得を忘れて飾らない付き合いができ、助け合えていたことを。(続く…)