「みんなちがって、みんないい」(5)

2019年5月29日

チューリップ「『自分は自分でいい』、『他と違ってもいい』という当たり前のことを日本の学校教育の中で一度も聞いたことがない」と語ったこの難民二世の女の子は、どうしたら日本で育つ子どもたちが「他を認め受け入れる」ことができるようになり、差別の無い社会、外国人の子どもが胸を痛めたりすることが無い日本をつくっていけるかということについても、国連の委員の方々の前で、次のようにはっきりと述べています。

「親や先生など身近なおとなたちが子どもの言葉や気持ちを聞き入れて、それをそのままで肯定することで、子どもは『自分は愛されている』『自分は大切な存在だ』と知ります。このような自己肯定が持てるようになってはじめて、自分とは違う他の人のことも肯定することができます。
 日本の子どもたちが家庭でも、学校でも、社会でも、今よりももっと愛されれば、子どもの『他を認め受け入れる』心が養われるはずです」

道徳を教科にしても

 この4月から「教科外の活動」として成績評価の対象外だった道徳が教科化されました。道徳を教科とすることには賛否両論ありますが、「違いを認められる人になろう」とか「差別をしてはいけない」と、子どもに教えることに異議を唱える人はいないでしょう。

 しかし、この女の子も言っているように、日本では学校という場所自体が違いを認める場になっておらず、子どもが日々の生活のなかで「自分は大切な存在だ」と実感できない教育しか行われていないのだとしたら、いくら道徳を教科にしても、その効果のほどはたかが知れています。

「ちっぽけなあなたが何より大切」

「違いが認められる子どもになって欲しい」「差別やいじめをしない人になって欲しい」と思うのであれば、子ども自身が「自分はとっても愛されている」と思えるような関わりが必要です。

 成績がいいとか、スポーツができるとか、何かに秀でているからなどではなく、期待に応えられるとか結果が出せるからというのではなく、「何もできないちっぽけなあなたでもいい。そんなあなたが何よりも大切なんだ」と言ってくれるおとながいなければなりません。
 
 無視されたり、自分の思いや願いを聞いてもらえないことなどが無く、子どもが「ねぇねぇ」と呼びかけたときに、「なぁに」と顔を向けてくれるおとなとの人間関係こそが、大事なのです。

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Posted by 木附千晶