子どもの権利条約と家族(5/5)
今の日本では、カルデロンのり子ちゃんのような、いわゆる外国人などの「マイノリティー」とよばれる子どもだけでなく、マジョリティーである多くの子どもたちも「自分は“世界でたったひとつの宝”である」という、実感を持って、育つことができない現実があります。
それは、わたしもかかわっている「第3回子どもの権利条約 市民・NGO報告書をつくる会」がこの3月に完成させた国連「子どもの権利委員会」に提出するための基礎報告書(CD)にも顕著です。
全国各地の、さまざまな立場、領域の人たちが寄せてくれた約400本もの報告からなるCDには、貧困、疲弊、情緒的剥奪などがおおっているおとなたちの現実。そうした日々に追われ、子どもと向き合うことができなおとなたちの苦しみが山のように載っています。その結果として成長発達がゆがめられていく子どもたちの現状が、リアルに描かれています。
ご興味のある方は、ぜひ読んでいただきたいと思います(基礎報告書CD-ROM発売のお知らせ)。
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社会を、家族を、変えていこう
今、日本では、子どもも、そしておとなも、「自分は生まれながらに価値があるんだ」と思うことができず、ある者は「他者よりも優秀な人間になって自分の価値を示そう」として疲れ、ある者は幼いうちから始まる競争レースで早々に脱落者にさせられ、あきらめやうらみの中で生きています。
そんな、子どもが成長発達できない、だれも幸せにしない社会を私たちは変えていかなければなりません。
そして、ひとつひとつの家族が、子どもの思いや願いをきちんと受け止め、子どもが「自分は“世界でたったひとつの宝”なんだ」と、日々、感じられるような家族へと変わっていかなければなりません。
子どもの権利条約を使って!
そのためにもぜひ、子どもの権利条約を知り、その理念に触れていただきたいと思っています。
今年は、子どもの権利条約が国連で採択されてから20周年めになります。
どうかこの条約を「難しい法律」として、絵に描いた餅のように飾っておくのではなく、現実を変えていくためのツールとして手にし、使っていただきたいと思っています。