「子どもを守る」とは?(5/5)
あれから10年が経ちました。
今や、固く門戸を閉ざした地域の学校、警察官による安全パトロールや、登下校時に保護者や地域ボランティアが付きそう光景が当たり前になりました。
おそらく若い世代には、開かれた学校の姿やパトロールや付き添いがまったくない子どもの登下校風景など、想像もつかないことでしょう。
おとなの知らないところで・・・
私の子ども時代のようにどこかで道草をくったり、おとなの目を逃れて子どもだけの時間を満喫する子どもは格段に減りました。
そうしておとなが囲い込んできた子どもたちが、今度はおとなが寝静まった真夜中に集い、おとなの知らないネットの世界でつながり始めたのです。
高い壁を築いても無駄
子どもを閉じ込め、どんなに壁や塀を高くしても、門戸を固く閉ざしても、絶対に子どもを守りきることはできません。危険を極力除去し、子どもを危険に近づけないよう指導・管理しても無駄です。
子どもを本当の意味で守りたいのであれば、「子どもが帰りたい」と思える安全な居場所をきちんとつくってあげること。そして「自分は大切だ」と思えるような関係性を身近なおとながちゃんと築いてあげること以外にないのです。
こうした居場所や、おとなとの関係を持つことができたなら、子どもは自然と危険を回避する能力を身に付けることができます。
自分で対処できないこと、危険なことに出会えば、安全な場所へと駆け込んで、信頼できるおとなに守ってもらおうとすることでしょう。